ちょっとディープな生物の世界

光合成の研究まとめ-アリストテレスからエマーソンまで-

紀元前4C:アリストテレス

植物は全ての栄養を土壌から得ていると考えた。

https://www.pahoo.org/

1648年:ヘルモント

ヤナギを水だけで育てた所、ヤナギが成長(2kg→76kg)しても土壌の重さは殆ど変化しなかった。このことから、植物は体を作る物質を作るためには水が必要なことがわかった。

http://tanokyo.com/

1772年:プリーストリー

密閉した容器にネズミを入れておくと窒息死するが、植物を一緒に入れておくとしばらくは死なないことがわかった。このことから、植物は呼吸に必要な気体(酸素)を放出することがわかった。

https://commons.wikimedia.org/

1779年:インゲンホウス

プリーストリーの実験を暗所で行うとネズミは死んだ。このことから、植物が酸素を発生させるためには光が必要であることがわかった。

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1788年:セネビエ

植物を密閉した容器に入れ、二酸化炭素を吸収する水酸化カリウム水溶液を一緒に入れておくと、酸素は発生しなかった。このことから、酸素を発生させるためには二酸化炭素が必要なことがわかった。

https://ja.wikipedia.org/

1804年:ソシュール

密閉した容器に植物を入れると、容器内の二酸化炭素量が減少し、植物の重さが増えた。このことから、二酸化炭素は植物に吸収されていることがわかった。

https://ja.wikipedia.org/

1864年:ザックス

葉の一部を覆うと、覆った部分以外でデンプンが合成された。このことから光があたるとデンプンが合成されることがわかった。

http://asobooow.com/

1882年:エンゲルマン

アオミドロと好気性細菌を一緒の容器にいれて光を照射した。アオミドロに様々な波長の光をあてると、好気性細菌は青紫色と赤色の光があたった部分に集まった。このことから葉緑体は青紫色と赤色の光があたると酸素が発生することがわかった。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

葉緑体とは-光合成色素と吸収する光・エンゲルマンの実験-

エンゲルマン

http://www.apsa.co.za/

1905年:ブラックマン

光合成は光を必要とする明反応(後の光化学系)と、光によらない温度や二酸化炭素濃度の影響を受ける暗反応(後のカルビンベンソン回路)によると考えた。

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1939年:ヒル

粉々にした葉緑体と水素と結合しやすい物質であるシュウ酸鉄(Ⅲ)を容器に入れ、二酸化炭素を抜いて光合成を行わせると酸素が発生した。この反応をヒル反応と呼ぶ。この実験により、酸素は二酸化炭素由来ではないことがわかり、水から酸素が発生する可能性が示唆された。

このヒル反応はシュウ酸鉄がNADP+の代わりに水素を受け取ることによって起こる反応である。詳しくは下記の記事を参照ください。

光合成の仕組みの解明

hill reaction

http://highered.mheducation.com/

1941年:ルーベン

ルーベンはクロレラの培養液に酸素の同位体を含む水と、酸素の同位体を含む二酸化炭素を別々に与えた。光合成を行わせると、酸素の同位体を含む水を与えた方からのみ、酸素の同位体が発生した。この実験から、光合成で発生する酸素は水由来であることが判明した。

kurorera

1949年:ベンソン

暗所では二酸化炭素が吸収されないことを確認した。さらに、二酸化炭素がない状態で光を照射し、その後暗所にして二酸化炭素を容器内に入れると二酸化炭素の吸収が起こった。このことから、光によって二酸化炭素を必要としない反応(後の光化学系)が起こり、そのあとに二酸化炭素を必要とする反応(後のカルビンベンソン回路)がおこることがわかった。

https://ucsdnews.ucsd.edu/

1957年:カルビン

炭素の放射線同位体を含む二酸化炭素をクロレラに吸収されて光合成を行わせた。クロレラの細胞内の物質を抽出し、2次元クロマトグラフィーで分離させ、X線フィルムに密着させると黒いスポットが現れる。時間経過に伴って黒いスポットがどのように変化するかを追跡し、カルビンベンソン回路を発見した。

karbin

1956年:エマーソン

クロロフィルaが最も吸収しやすい波長680nmの光だけを照射すると、光合成速度が低下した。しかし、680nmと650nmの光を同時に照射すると、光合成速度が回復した(エマーソン効果)。このことから、異なる波長の光を必要とする反応(後の光化学系Ⅰ、光化学系Ⅱ)があることが示唆された。

https://www.biologyexams4u.com/

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