ちょっとディープな生物の世界

浸透-高張液・等張液・低張液-

浸透とは

浸透とは半透膜を境にして、濃度の異なる溶液同士の間で水などの溶媒の移動が起こる現象である。植物細胞などを高濃度のスクロース溶液になどに浸すと、中の水分が抜けて細胞質が小さくなる原形質分離が起こる。原形質分離は浸透によるものである。

半透膜とは

ある物質(大抵は小さな物質)は通すが、ある物質(大抵は大きな物質)は通さないような膜を半透膜と呼ぶ。細胞膜は半透膜である。

https://en.wikipedia.org/

浸透と浸透圧

半透膜を境に濃度の異なるスクロース溶液を置くと、濃度の低い方から濃い方へ水が移動する。この現象を浸透といい、浸透を受ける側の溶液にかかる圧力を浸透圧という。

高張液、等張液、低張液とは

浸透は異なる濃度の溶液が半透膜で仕切られた時に生じる現象である。実際、溶液の成分自体が違ったりするため、「濃度が高い」「濃度が低い」という表現は適切ではない。そのため、異なる濃度の溶液があった場合、溶媒の移動によって次のような名称をつける。

  1. 溶媒が移動によって体積が減る溶液を低張液
  2. 溶媒が移動によって体積が増える溶液を高張液
  3. 溶媒の移動が起こらない溶液を等張液

動物細胞と浸透

動物細胞を高張液、等張液、低張液に浸すと次のような現象が起こる。

  • 高張液に浸す:水分が取られ収縮する。
  • 等張液に浸す:何も起こらない。このような食塩水を生理食塩水と呼ぶ。恒温動物では0.9%、両生類では0.7%である。
  • 低張液に浸す:細胞内に水が侵入し、破裂する。赤血球が破裂する現象を溶血と呼ぶ。
youketu

植物細胞と浸透

植物細胞を高張液、等張液、低張液に浸すと次の現象が起こる。

  • 高張液に浸す:水分が奪われて収縮する。細胞壁と細胞膜が離れる原形質分離が起こる。

  • 等張液に浸す:何も起こらない。細胞外の溶液の浸透圧が僅かにでも上昇したら原形質分離が起こるため、等張液に浸した状態を限界原形質分離と呼ぶ。
  • 低張液に浸す:細胞内に水が侵入し、細胞壁を押し上げようとする。この圧力を膨圧と呼ぶ。浸透圧から膨圧を引いた圧力を吸水力と呼ぶ(吸水力=浸透圧 - 膨圧)。

生理的塩類溶液

生理食塩水は単純に等張液の食塩水を指すが、生理食塩水の食塩の一部を他の塩類に置き換え、緩衝液などを加えることで、より体液の成分に近づけた溶液を生理的塩類溶液と呼ぶ。1882年にリンガーがによって作られたリンガー液が有名である。

3 COMMENTS

reina

生物の浸透の部分の高張液、等張液、低張液に書いてある「低懲役」は誤字です。

返信する
管理人

>reinaさん
ご指摘いただき大変ありがとうございました・w・また教えていただけると嬉しいです。

返信する

生物 – 自宅で学ぶ高校生物-生物基礎・生物- へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です