発生

花の形成(ABCモデル)

花の形成(ABCモデル)

花の形成には調節遺伝子が3つ働く。それぞれ、A、B、Cと名づけられており、ホメオティック遺伝子である。それぞれが相互作用して、遺伝子発現を調節している。

  1. A→がく
  2. A+B→花弁
  3. B+C→おしべ
  4. C→めしべ

ABC
ホメオティック遺伝子

胚発生の初期において組織の前後軸および体節制を決定する遺伝子である。ショウジョウバエのホメオティック遺伝子(アンテナペディア、バイソラックス)などが有名。

ホメオティック遺伝子

ABCモデルのホメオティック突然変異

A、B、Cのいずれかが突然変異が起きると、花の形態が大きく変化する。

  1. Aの異状:がくと花弁を形成しない。
  2. Bの異状:花弁とおしべを形成しない。
  3. Cの異状:おしべとめしべができない。
ホメオティック遺伝子
ホメオティック突然変異http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2005278499

裸子植物の生殖

裸子植物の生殖

裸子植物とは

種子植物のうち胚珠がむきだしになっているものを指す。ソテツ類、イチョウ類、マツ類、グネツム類を含む。裸子植物は種子を作るようになった最初の植物である。イチョウの種子であるギンナンは一見、子房があるように見えるが、実際は種皮が厚くなったものである(詳しくは→「イチョウの種子のギンナンは子房ではない」)。

精子の形成

イチョウ・ソテツに限っては遊泳する精子を形成する。裸子植物・被子植物では通例精子を作ることはないので、それより下等な植物の形質を持っていると言える。

イチョウ精子

胚(2n)の形成

花粉管内でできた精細胞と胚のう内の卵細胞が受精し、胚(2n)となる。被子植物とは異なり胚乳(n)とは受精(重複受精)しない。

胚

 

松ぼっくりの形成過程は次の図の通りである。

松

植物の受精と発生

被子植物の重複受精

被子植物では、精細胞(n)×2卵細胞(n)中央細胞(n+n)と受精する。これを重複受精と呼ぶ。受精後は、卵細胞は受精卵(2n)に、中央細胞は胚乳(3n)になる。裸子植物では胚乳の核は受精しないため、nのままである。

重複受精
紫色のものが精核http://ecurrentaffairs.in/
花粉管の誘導

助細胞はルアーと呼ばれるタンパク質を放出し、花粉管を誘導する。

胚の発生

受精卵は体細胞分裂を繰り返し、胚柄球状胚を形成する。球状胚は成長し、子葉、幼芽、胚軸、幼根となる。胚柄を除くこれらをと呼ぶ。

胚
一番左図の灰色のひょろっと伸びているものが胚柄、一番右図の濃い緑色が子葉、赤色が幼芽、黄色が胚軸、紫色が幼根http://www.mun.ca/biology/desmid/brian/BIOL3530/DB_06/DBNPlant.html

種子の形成

種子は胚珠が成長したものである。被子植物の場合、子房が成長した果実の中に種子ができる。種子には胚乳に栄養を蓄えている有胚乳種子と、子葉に栄養を蓄えている無胚乳種子がある。

胚珠

有胚乳種子
http://blog.goo.ne.jp/daimajin-b/e/35aa64677784d1b5e34a74b620da2379

柿
有胚乳種子http://d.hatena.ne.jp/gzutetsu/20091202/p1

有胚乳種子と無胚乳種子の覚え方

解答もあるが、あーまくない。
キ、ネ、トウモロコシ、胚乳種子、サガオ、ブラナ、メ、リ、胚乳種子

自家不合和性

同じ花の中で受粉が起こることを自家受粉と言う。自家受粉は遺伝子多様性を損なうことから、自家受粉を防ぐ仕組みを持つ植物もある。その仕組を自家不合和性と呼ぶ。

S遺伝子

ある膜タンパク質の遺伝子。柱頭のS遺伝子由来の膜タンパク質と、花粉のS遺伝子由来の膜タンパク質が全く同じであったとき、花粉管の伸長が阻害される。

植物の配偶子形成

被子植物の配偶子形成

被子植物は雄性配偶子である花粉と、雌性配偶子である卵細胞が形成される。卵細胞形成の際には、栄養分を蓄える胚のうも作られるのが特徴である。

花粉の形成

  1. 花粉母細胞(2n)が減数分裂し、花粉四分子(n)となる。
  2. 花粉四分子(n)は体細胞分裂し、雄原細胞(n)花粉管核(n)となる。
  3. 雄原細胞(n)はさらに体細胞分裂し、精細胞(n)×2となる。
  4. 精細胞(n)は受精するための精核(n)をそれぞれ1つずつ持っている。
花粉
上:花粉の形成。紫色のものが花粉管核http://www.biosci.ohio-state.edu
精細胞

卵細胞と中央細胞と受精するため精細胞は2つある。これを重複受精と呼ぶが、重複受精をするのは被子植物のみ。

精細胞
Aが精細胞核、Bが精細胞膜表面、CがAとBを合わせたもの。http://www.natureasia.com/ja-jp/jobs/tokushu/detail/289
花粉管

柱頭から胚のうまで距離があるため、花粉管を伸ばして精細胞を送る。

胚のうの形成

  1. 胚のう母細胞(2n)が減数分裂し、胚のう細胞(n)とその他の細胞(n)×3となる。
  2. 胚のう母細胞以外は退化する。
  3. 胚のう母細胞で核分裂が起き、8個の核が生じる。
  4. それぞれが細胞膜でしきられ、反足細胞(n)×3、中央細胞(n+n(核が2つある))、助細胞(n)×2、卵細胞(n)となる。それぞれを全て合わせて胚のうと呼ぶ。
花粉
下:胚のう形成。右端のオレンジ色が反足細胞、青色が中央細胞の核、赤色の中央が卵細胞、赤色の残りが助細胞http://www.biosci.ohio-state.edu
反足細胞

胚のうに養分を供給する役割があるかもしれないとされているが、よくわかっていない。発生に伴い消失する。

反足細胞
左にある3つの細胞が反足細胞http://plantphys.info/plant_biology/labaids/flowerlab/

中央細胞

精細胞と受精して胚乳(3n)となる。核が2つあるのが特徴。

egg
真ん中の楕円の細胞が中央細胞。中に助細胞(左)、卵細胞(左)、反足細胞(右)も埋まっている。http://www.iasprr.org/old/iasprr-pix/lily/female.shtml
助細胞

花粉管を誘導する物質を放出する。

卵細胞

精細胞と受精してになる。

裸子植物の配偶子形成

裸子植物の一部(イチョウやソテツ)は精細胞の代わりに精子を形成する。

母性因子による体軸の決定

母性因子

母性因子とは卵細胞が持っている物質で、体軸の決定を行っているもののことを指す。具体的にはmRNAタンパク質がそれに当たる。ウニの母性因子、ショウジョウバエのビコイドmRNA、カエルの卵のディシュベルドタンパク質などがあげられる。

ウニの母性因子

ウニの体軸決定因子を調べるために次の実験を行った。

  • 植物極と動物極どちらも含むようににウニの未受精卵を切断する(実験1)
  • 植物極、動物極だけの細胞を作るためににウニの未受精卵を切断する(実験2)

その後、精子を受精させて発生過程を観察した。なお、無核の卵でも精子の進入によって発生が進むことは確認されている。実験結果は以下のようになった。

  • 1の実験では、どちらも正常な幼生が発生した。
  • 2の実験では、動物極側は胞胚期で発生が停止した。植物極側は不完全な幼生が形成された。

このことから、植物極側に体軸を決定する母性因子があること、動物極側の細胞質基質もなければ正常な発生をしないことが判明した。

カエルの発生

受精卵から尾芽胚まで

カエルの発生は次の過程を経る。原腸胚からはウニよりも複雑な過程を辿る。

  1. 受精卵から4細胞期までは等割を行う。
  2. 8細胞期からは不等割を行う。
  3. 胞胚腔はウニとは異なり、動物局側にできる。
  4. 原腸胚初期には原腸が胞胚腔内に貫入し、原口が形成される。この時、内胚葉、中胚葉、外胚葉が分かれる。
  5. 原口は最終的に内胚葉によって埋められ、卵黄栓となる。
  6. 神経胚には、外胚葉から神経板が、中胚葉から脊索・側板が、内胚葉には腸管ができる。
  7. 神経胚が進むと、側板は体節・腎節・側板に分化する。
  8. 外胚葉からは神経堤細胞が移動し、末梢神経神経膠細胞(グリア細胞)が形成される。
  9. 尾芽胚になると、が発達する。また、肛門ができる。

原腸陥入

カエルの発生で最も理解しにくいのは原腸陥入ではないだろうか。ウニでは胞胚腔が残る形で原腸が形成されるが、カエルでは原腸が胞胚腔を埋め尽くす。

カエル
胞胚腔が原腸によって追いやられているのがわかる。https://embryology.med.unsw.edu.au/embryology/index.php/Book_-_The_Frog_Its_Reproduction_and_Development_7

胚葉の分化

まとめると、外胚葉、中胚葉、内胚葉は次のように文化する。

外胚葉
  • 表皮:皮膚、水晶体、角膜、嗅上皮、内耳
  • 神経管:脳、脊髄、網膜
中胚葉
  • 体節:骨格、骨格筋、皮膚の真皮
  • 腎節:腎臓、輸尿管
  • 側板:心臓、血管、平滑筋、腸間膜、結合組織
内胚葉
  • 腸管:胃、腸、肝臓、膵臓、中耳、肺、気管、えら、膀胱

ウニの発生

受精卵からある程度の成体(幼生)になるまでの過程をと呼ぶ。ウニ、両生類、哺乳類では胚の内部に空洞(胞胚腔)ができ、胞胚となる。その後、細胞が胞胚腔内に陥入し、原腸を形成する原腸胚となる。その後、細胞は胚葉と呼ばれる大まかなグループへと分化する。

外胚葉

表皮や神経管を形成する。

中胚葉

骨格や、腎臓、筋肉、心臓、血管などを形成する。

内胚葉

内蔵などを形成する。

ウニの発生

ウニの発生は次の過程で進む。

  1. 受精卵~8細胞期までは等割である。8細胞期からは不等割が行われる。
  2. 胚はさらに細胞分裂を重ね、桑実胚となる。
  3. 胞胚期には受精膜から飛び出し孵化する。中は空洞で、胞胚腔と呼ばれる。
  4. 原腸胚初期には植物極側から細胞の陥入が始まる。
  5. 原腸胚後期には原腸が形成され、貫入した入り口は原口とよばれる。原腸を形成する細胞は内胚葉となる。胞胚内には細胞が浮遊し、中胚葉となる。一部は骨片に分化している。胞胚の表面の細胞を外胚葉と呼ぶ。
  6. プリズム形幼生になると、原腸が反対側に達し、が形成され。原腸は消化管となる。
  7. プルテウス幼生になると形が変形してくる。

卵割

卵割

卵割とは、卵の初期の体細胞分裂のことである。細胞が成長せずに分裂を続けてどんどん小さくなっていくのが特徴である。また、細胞周期が短く(G1、G2がない)、それぞれの細胞が同じペースで分裂が行われる。

卵の種類

卵には卵黄の分布によって種類がある。図はピンク色が核、黄色が卵黄。

等黄卵

卵黄が少なく、均一に分布している。ウニや哺乳類など。

端黄卵

卵黄が多く、植物極側(卵の下側)に偏っている。両生類など。

端黄卵

卵黄がとても多く、植物極側に偏っている。魚類、爬虫類、鳥類など。

端黄卵
心黄卵

卵黄が卵の中央に分布している。昆虫や甲殻類など。

卵割の様式

等割

卵が均等に卵割する。

等割
不等割

卵が不均等に卵割する。

不等割
盤割

卵のごく一部が卵割する。ニワトリなど。

盤割
表割

卵の表面全体が卵割する。中央には卵黄がある。ショウジョウバエなど。

ウニの受精過程

受精から多精拒否まで

精子が卵に進入するために、始めに先体反応が起こる。受精すると卵は多くの精子の侵入を防ぐために表層反応膜電位変化という多精拒否のシステムを作動させる。

先体反応

卵はゼリー層に包まれているため、容易に精子は進入できない。そこで、精子は先体からタンパク質分解酵素を放出する。また、先体突起が伸びていき、卵黄膜を通過すると、精子の核が卵へと進入する。


下図では、左から2番目がタンパク質分解酵素を放出している所、3番目が先体突起を伸ばしている所、4番目が核が侵入した所である。

表層反応

精子核が卵に進入すると、そこに細胞膜と卵黄膜の間に隙間が生まれ受精丘と呼ばれる膨らみができる。隙間めがけて表層粒が内容物を放出し、卵黄膜はしだいに細胞膜から離れていく。細胞膜から完全に離れた卵黄膜を受精膜と言い、他の精子の進入を防いでいる。これを遅い多精拒否と呼ぶ。※ヒトの卵は第二分裂中期の状態で排卵され、精子の侵入が刺激となって第二分裂が再開される。

表層反応
⑤は表層粒の内容物が放出されて受精膜を形成している所https://www.koofers.com/

速い多精拒否

卵の細胞膜に精子が到達すると、膜電位が変化する。膜電位が変化している最中は他の精子が進入できない。これを速い多精拒否と呼ぶ。膜電位はしだいに元に戻るが、戻った頃には受精膜が形成されている。

膜電位
普段は-70mVであるが、受精すると電位が逆転する。http://biology.kenyon.edu/

Scientists just captured the flash of light that sparks when a sperm meets an egg from woahdude

配偶子形成

配偶子

配偶子には様々な種類があるが、ここでは精子について扱う。

卵の構造

卵は表面にゼリー層があり、その下に卵黄膜がある。卵黄膜は将来、受精膜となる。卵黄膜のすぐ下には細胞膜があり、細胞膜に近い細胞質基質内には表層粒がある。そして、卵核(n)が存在する。下図は精子が侵入している卵細胞である。外側の黄色の膜がゼリー層、紫色の膜が卵膜、紫色の膜のすぐ下には細胞膜がある。

精子の構造

精子はおおまかに頭部中片部尾部に分けることができる。頭部にはタンパク質分解酵素を含む先体と、核(n)がある。中片部にはミトコンドリアが詰まっており、中心体もある。尾部は細胞骨格からなる鞭毛がある。

精子
精子の構造。ラベリングの仕方は少々異なっている。http://www.mammo.tv/

配偶子形成

配偶子は減数分裂によって形成される。減数分裂とは1つの細胞(2n)の染色体が半数(n)になる細胞分裂である。第1分裂第2分裂があり、1つの母細胞から4つの娘細胞ができる。

卵の形成

次の過程を経て卵が形成される。

  1. 始原生殖細胞(2n)が細胞分裂を繰り返し数が増え、卵原細胞(2n)となる。ここまでは体細胞分裂である。
  2. 卵原細胞(2n)は成長し、一次卵母細胞(2n)となる。
  3. 減数分裂の第一分裂が始まり、一次卵母細胞は二次卵母細胞(n)第一極体(n)に分裂する。
  4. 二次卵母細胞は第二分裂し、卵(n)第二極体(n)に分裂する。第一極体と第二極体は小さく、しばらくして消滅する。これは、卵細胞に栄養を集中させるためである。
精子の形成

静止はほぼ卵の形成と同じ経路を辿る。精子の場合、栄養を1つの細胞に集中させる必要がないので、極体は生じない。また、精細胞が変形して精子となる。

  1. 始原生殖細胞(2n)が細胞分裂を繰り返し、精原細胞(2n)となる。
  2. 精原細胞(2n)が成長し、一次精母細胞(2n)となる。
  3. 一次精母細胞(2n)が減数分裂第一分裂し、2つの二次精母細胞(n)ができる。
  4. 二次精母細胞(n)が第二分裂し、2つの精細胞(n)となる。
  5. 精細胞(n)が変形し、精子(n)となる。結果的に、一次精母細胞から4つの精子ができる。