神経系

中枢神経系

中枢神経系

中枢神経系は脊髄からなる。脳は大脳、間脳、中脳、小脳、延髄、橋からなる。間脳、中脳、延髄、橋は脳幹と呼ばれており、生命維持に関わる重要な役割を担っている。

視床下部
中枢神経系 ※間脳と中脳と橋と延髄を合わせて脳幹と呼ぶ。図は間違い。

脳MRI
脳のMRIcoolsciencegifs.tumblr.com/

大脳

大脳は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分類できる。前頭葉では随意運動や思考を制御している。意識の最高中枢であり、「私」はまさに前頭葉にある。側頭葉は聴覚、嗅覚、情緒、感情、記憶を司る。頭頂葉は痛み、温度、圧力、空間認識を司る。後頭葉は視覚を司る。

大脳

皮質と髄質

大脳は表面に大脳皮質と呼ばれる構造があり、内部は大脳髄質と呼ばれている。皮質には細胞体が存在しており、髄質には軸索などの神経繊維しかない。

大脳皮質
大脳皮質http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/35/Human_Brain.jpg

皮質

大脳の表面は新皮質からなっており、内側は古皮質原皮質を含む辺縁皮質からなっている。新皮質は進化的に新しい皮質であり、理性などを司る。新皮質は6層の構造からなる。一方、古皮質・原皮質は情動などを司る。進化的に最も古い脳であり、魚でも辺縁皮質は見られる。

大脳皮質
大脳皮質の比較http://www.keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biology_n1_kaitei/contents/bi-n1/4-bu/4-2-B.htm

辺縁皮質

ヒトの脳には辺縁皮質に扁桃体海馬体などがあり、前者は攻撃・恐怖などの感情を引き起こし、後者は記憶を司っている。扁桃体が機能しなくなると恐怖を感じない人間になる。

アイオワ大学の臨床神経心理学者Justin Feinstein氏らは、Urbach–Wiethe disease(ウ
ルバッハ・ヴィーデ類脂質蛋白症)という非常に珍しい遺伝病の病状として局所性両側扁桃体損傷(focal bilateral amygdala
lesions)があらわれ、扁桃体が機能しない44歳の女性S.M.さんに、ヘビやクモを見る・ホラー映画を見る・お化け屋敷を訪れる・過去のトラウマ
的体験について回想するなど、通常の人であれば恐怖を感じるようなさまざまな状況を体験してもらい、その反応を記録しました。

また、「死への恐怖」「公衆の前で話すことへの恐怖」などさまざまな恐怖について測定する各種の標準化された質問事項にも答えてもらったほか、3カ月間にわたり日中ランダムに「現在の恐怖レベル」を聞いてくるデバイスを携帯して「感情日記」をつけてもらいました。論文はCurrent Biology誌に掲載されています。

実験を通じてS.M.さんは「恐怖」を感じる様子をまったく見せず、事前に「クモやヘビは嫌いでいつも避けるようにしている」と語っていたにもかかわらず
ペットショップを訪れるとすぐにヘビやクモを触りはじめ、研究者らを驚かせたそうです。なぜ嫌いな生き物を触ったのかと聞かれると、「好奇心に勝てなかっ
た」と答えたとのこと。3児の母であるS.M.さんは、自宅近くで大きなヘビを見かけると怖がることなく近づいていって持ち上げる様子を子どもたちに目撃されてもいます。
http://gigazine.net/news/20101225_fearless_without_amygdala/

大脳辺縁

ロボトミー(精神外科)

20世紀には精神疾患の治療方法として前頭葉を切断するロボトミーが多数行われた。一時は画期的な治療方法と思われたが、ロボトミー手術を受けた患者は精神疾患の症状は改善するものの感情が無くなる、無気力になるなどの新たな症状が現れた。日本ではロボトミーは1975年に廃止されている。

ロボトミー

 

ロボトミー2

また、てんかん患者には脳梁を切断する精神外科手術が行われていた。脳梁とは右脳と左脳をつなぐ神経である。切断によっててんかん症状は抑えられたが、奇妙な現象が確認された。左目(右脳)に野球ボールを見せて、「何が見えたか」と言葉で質問すると、言語を司る左脳は「何も見えない」と答えるといったようなものだ(※視神経は途中で交差し、右目は左脳、左目は右脳につながっている)。右脳と左脳の機能が繋がっていないことが原因となっている。脳分割問題として面白くまとめられている。

脳梁

 

 

間脳

間脳は視床視床下部に分類できる。視床は大脳へ信号を伝える役割を持ち、視床下部は自律神経系の中枢である。また、様々な放出ホルモンを分泌し、恒常性維持の役割を担っている。

間脳

中脳

眼球運動・瞳孔調節の中枢。姿勢維持の役割も担う。

中脳

小脳

体の平衡感覚を司る中枢。鳥などの複雑な運動(飛行)を行う動物は小脳が発達している。

小脳

延髄

心臓の運動調節の中枢。消化腺、涙腺の反射中枢。

延髄

大脳の情報を小脳へ伝える。

橋

脊髄

精髄の外側は白く白質と呼ばれており、内側は灰色のため灰白質と呼ばれている。脊髄からは背根腹根が伸びており、背根には感覚神経などの求心神経が通り、腹根には運動神経や交感神経などの遠心神経が通っている。

ニューロンの興奮

活動電位と静止電位

ニューロンは細胞内の電位を変化させることによって信号を他のニューロンに伝えている。興奮していない細胞の電位を静止電位と呼び、興奮している細胞の電位を活動電位と呼ぶ。

脳神経細胞
ニューロンの興奮http://coolsciencegifs.tumblr.com/

静止電位

ニューロンは静止電位の状態の時はNa+ポンプナトリウムイオンNa+細胞外に放出し、カリウムイオンK+が細胞内に流入している。しかし、K+はK+チャネルを通って細胞外に流出する。プラスのイオンが細胞外へ流出するため、細胞内が外部に対してマイナス(-70mv)に保たれている。

活動電位

ニューロンが刺激を受けると、Na+チャネルが開き、大量のNa+が細胞内に流入する。その結果、細胞内がプラスになる。すぐにNa+チャネルは閉じ、Na+ポンプによってNa+は細胞外へ運びだされ、K+は流入する。やがて、K+チャネルが開き、膜電位が元に戻る。

下図では、上段が静止電位。紫色がK+チャネル。中段が活動電位。K+チャネルが閉じ、ピンクのNa+チャネルが開く。下段が再度静止電位に戻っているところである。

activepotential


20秒くらいから活動電位

興奮の伝導

ニューロンのNa+チャネルは膜電位依存性チャネルである。したがって一回興奮が起こると(膜電位が逆転すると)、そこから次々とNa+チャネルが開いていく。これを興奮の伝導という。

跳躍伝導

有髄神経線維(軸索が髄鞘に包まれている繊維)では、興奮がランビエ絞輪を跳躍して伝わるため無髄神経線維に比べて格段に早く伝わる(跳躍伝導)。ヒトの有髄神経では100m/sであるが、ヒトの無髄神経(交感神経)では2m/sしかない。

choyaku
http://blogs.yahoo.co.jp/yuyamichidori/11064513.html

全か無かの法則

活動電位は刺激がある一定以上の強さ(閾値)でなければ、発生しない。これを全か無かの法則という。ニューロンはデジタル信号であることがわかる。

神経系の種類

神経系の種類

神経系には中枢(脳や脊髄)がない散在神経系と中枢があるかご形神経系はしご形神経系管状神経系がある。右に行けばいくほど発達したものとなっている。

sinkeikei

 

http://www.tmd.ac.jp/

散在神経系

散在神経系はヒドラなどの刺胞動物が持っている。

hidora
http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/

かご形神経系

かご形神経系はプラナリアなどの扁形動物が持っている。

puranaria
http://www.cdb.riken.jp/

はしご形神経系

はしご形神経系ではバッタなどの節足動物環形動物が持っている。脳の他に神経節と呼ばれる神経細胞の塊が節ごとにある。下画像のミミズは環形動物である。

mimizu

神経節を持っているため、虫は頭がなくても動くことができる。しかし、口がなくなるのでいずれは餓死する。

管状神経系

管状神経系は脊椎動物が持っている。脳と脊髄があるのが特徴である。ヒトの場合は中枢神経系(脳と脊髄)を中心に末梢神経系が伸びている。末梢神経系には体性神経系(感覚神経・運動神経)自律神経系(交感神経・副交感神経)が存在する。

中枢神経 脳と脊髄
末梢神経 体性神経系 感覚神経・運動神経
自律神経系 交感神経・副交感神経
  • 感覚神経:体の各部からの感覚の情報を中枢神経に伝える神経
  • 運動神経:中枢神経から体の各部に筋肉運動の情報を伝える神経
  • 交感神経:主に緊張時に働く無意識の活動に関する情報(心臓拍動増加など)を体の各部に伝える神経
  • 副交感神経:主にリラックス時に働く無意識の活動に関する情報(心臓拍動低下など)を体の各部に伝える神経
中枢神経