面白すぎる生物本リスト

高校生にお勧めする生物学の本や、高校生物を改めて学んでいる大人の方にぜひ知っていただきたい本のリストを作成しました。

脳の中の幽霊

神経学者のラマチャンドラン博士が実際の症例を基にしながら、脳の奇妙な働きを紹介する。活動電位の集合体である「精神」とは何者なのだろうか?

生物学の歴史

生化学なのにSF界の巨匠という謎人物アシモフが描く生物学の歴史。流石ベストセラー作家、読み物として面白いこと間違いなし&非常に勉強になる。

攻撃-悪の自然誌-

動物行動学の巨人ローレンツの著書。牙を持つオオカミなどは、同族を殺さないよう攻撃性を制御する本能を持っているという。そんな本能を持たないヒトが、容易く同族を殺すことができる「銃」を持ってしまうと、際限の無い殺し合いが始まる。

ソロモンの指環

動物行動学をやる人間は動物を愛さなくてはならない。そうでなくては、どうしてありのままの姿を人間に見せてくれるのだろう。ローレンツの動物愛が詰まった一冊。

動的平衡-生命はなぜそこに宿るのか-

生物は物質的には絶えず変化しているが、システム(構造)的には全く変化していない。これを動的平衡と呼ぶ。本の内容はエッセイであり読みやすく(もちろんその分浅いが)、生物への好奇心を高めてくれる。

生物と無生物の間

同じく福岡伸一さんによるエッセイ。タイトルの「生物と無生物のあいだ」について深く言及しているわけではないが、様々な生物の現象に触れながら、生物学への好奇心を掻き立ててくれる。非常に読みやすい。

種の起源

王道中の王道。チャールズダーウィンが単に思い付きで進化論を提唱したわけでないことがこれを読めばわかる。ダーウィンの観察眼と行動力は計り知れない。

利己的な遺伝子

あくまで生物とは遺伝子の乗り物に過ぎない。遺伝子は自らのコピーを拡散しようと利己的な挙動をする。遺伝子の利己性を軸とした生物観、人間観。

人間の性はなぜ奇妙に進化したのか

「銃・病原菌・鉄」で超有名になったダイアモンドが人間の性に着目する。人間の性は生物界でどれほど奇妙で特異的かを知ることができる。

進化しすぎた脳

脳の不思議さを存分に表現した一冊。記憶とは何か、思考とは何か、心とは何かといった究極のテーマについての考察を述べている。タイトルの通り、中高生にもわかるように最新脳科学が解説されている。

やわらかな遺伝子

遺伝子は絶対的な力を持っていて、ヒトの人生をさも最初から決定してしまいかねない印象がある。しかし、マット・リドレーは環境によって遺伝子発現が異なることに着目し、もっと「柔らかい」遺伝子観を提唱する。

ミラーニューロンの発見

ヒトの脳には、相手の言葉や行動を脳内で再現する回路が存在している。それが共感性や学習などに深く関わっていることが発見された。汚い言葉などを聴いてしまうと、脳内で自分がそれを発したかのように錯覚してしまう。

破壊する創造者

ウィルスは他生物の細胞に自身のDNAを組み入れる性質を持っている。それはウィルス自身の複製にも使われるが、偶然挿入された遺伝子が進化を引き起こすこともある。破壊と創造はまさに紙一重。

裸のサル

動物行動学の立場からヒトを見たらどのように見えるかをテーマにした一冊。ヒトとしての主観をなるべく排除したその描写は、まさにヒトを動物として捉えている。客観的に見るからこそ見えてくるヒトの姿がある。

生物から見た世界

古典ではあるが名著。当たり前のことではあるが、生物によって「世界」は異なる。ヒトはヒト特有の受容器と中枢神経があり、「世界」を生み出している。他の生物は全く異なる「世界」を生み出している。「世界」はどこまでいっても主観でしか捉えることができない。

動物と人間の世界認識

上記「生物から見た世界」を訳した日高 敏隆さんが、さらに平易な言葉で生物的な多元的世界観を展開させる。人間の世界は、あくまで人間だけにとっての世界でしかない。

生命とは何か

超こてこての物理学者が生物を解説したらこんな感じになりました、という本。まさに「物質」としての生物が描かれている。

生物進化を考える

中立進化を提唱した日本を代表する遺伝学者が、様々な進化論を丁寧に説明する。どのような変遷で現在の進化論が確立されたか、教科書には載っていない間違った仮説等も含めて紹介している。

進化とは何だろうか

日本を代表する進化学者、長谷川夫婦の妻の方が著書。ジュニア新書であるため、かなり理解しやすく進化のことがまとめられている。

妻と帽子を間違えた男

統合失調症などの患者と精神科医との交流を描いたエッセイ。タイトルの通り、「妻と帽子」を間違えてしまう。まるで「火星人」のような感覚を持ちながら、豊かな人間性溢れる患者の姿が印象に残る一冊。

ぼくは数字が風景に見える

共感覚者が捉えている日常をそのまま本にした感じ。共感覚者とは、ある感覚と他の感覚が強く結びついている脳の症状で、著者ダニエルは数字が風景に見えるという。他にも音が色に見えたりなど、様々な共感覚が存在している。脳の不思議さを味わう一冊。

錯覚の科学

ヒトはよく錯覚する。幻覚を見ることもあれば、有りもしない体験を事実のように捉えてしまう。それは個人の欠点なのだろうか。いや、そうではなく、脳の構造としてそのような性質を持っているのだ。認識の能力の不確かさこそが、脳の特徴である。

偶然と必然

ジャック・モノーさんと言えばオペロン説を提唱した人物。モノーさん(40年前)が、その時代の生命現象を解説した上で、思想的な問いかけ(神はいるのか、偶然か)を行う。科学は思想と密接に結びつくことを感じさせられる一冊。

昆虫はすごい

狩猟採集、農業、牧畜、建築、戦争、奴隷制、共生、昆虫は何でもやっている。まるでヒトの姿を見ているかのような、昆虫のリアルな姿を描き尽くす。

象の時間 ネズミの時間

動物のサイズによって心臓が拍動する速さが異なる。それは、その生物独自の「時間(体感時間)」を持っていると言えるのではないだろうか。私たちの時間感覚は、世界基準ではないことを思い知らされる。

共生生命体の30億年

「共生説」を提唱した著者が、共生こそが生命の進化を飛躍させた要因であることを熱く述べる。共生説は、はじめは受け入れられず苦しい思いをしただけあって、著者の信念がすごい。

皮膚感覚と人間のこころ

外界と直接触れ合う皮膚は、環境の変化から生体を守るだけでなく、自己と他者を区別する重要な役割を担っている。それは、人間のこころと身体に大きな影響を及ぼしている。

寿命はなぜ決まっているのか

またジュニア新書から1冊。生物にとっては、全てが意味あることである。それはもちろん「寿命」も含まれる。個体が死ぬということが、どうして生物にとって必要であったのかに迫る一冊。最新の寿命研究の多く紹介されている。

働かないアリに意義がある

真社会性生物である蟻の生態を事細かく記した動物行動学の本。司令塔がいない(女王は繁殖のみ)蟻社会はいかにして仕事を分配し、それがどうして効率が良いのか。ヒトとは異なる社会の仕組みが明らかになる。

右利きのヘビ仮説

ヘビは右巻で、ヘビが食べているかたつむりも右巻である。このことから、ヘビは食べやすいように特化するよう進化したのではないかとの仮説からスタートし、フィールドで実験を試行錯誤した話。仮説を立てるは良いものの、どうやって論証するのか、非常に参考になる1冊。

細胞紳士録

自分が知っている細胞の幅を広げたいなら、軽い気持ちで読んでみたら良い。電子顕微鏡写真を多用した様々な細胞の姿が解説されている。

DNA

いわゆる暴露本。DNA発見までの研究や、他の研究者との競争の様子をありのままに描いている。ドロドロした内容のため、これから研究者を目指す人は注意して読んだ方が良い。

新しい発生生物学

発生をさらに詳しく、でも分かり易く知りたいならば最適の一冊。発生の驚異的なシステムを平易な言葉で、詳細に解説してくれる。発生生物学入門書。

沈黙の春

人類が生み出す化学物質が環境ホルモンとして生物に作用していることを初めて世に知らしめた1冊。その事実は現代ではもはや「常識」となったが、この時代においてはレイチェルが主張していることは「非常識」であった。古典だが、ぜひ一度は読みたい教養本。

センスオブワンダー

「沈黙の春」で有名なレイチェル・カーソンさんが晩年に書いた本。生物だけに限らないが、「不思議」と驚く心が、人の探究活動の原動力となってきた。幼少期の原点に帰ることができる。

ヘラクレイトスの火

DNAのAとT、GとCの量が等しいことを発見したシャルガフさん。人間に欲望によって発展してきた現代文明、科学に厳しい批判を述べる。

奇跡の脳

ハーバード大学で脳科学の専門家として働いていた著者が、脳卒中に襲われ、そこで体験した非日常的感覚を描いた作品。ある意味「スピリチュアル」な体験内容となっており、一見、非科学本なのかと誤解されやすいが、そんな体験もあくまで脳の現象の1つなのだとこの本の報告によって確信する。

ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか

NHKスペシャルが書籍化したもの。「人間は協力することによって生き、分かち合うことはその本質」など、改めて人間らしさを探究する。

精神と物質

B細胞の遺伝子再編成を発見した利根川進の著作。正直、「精神と物質」については語っていないが、利根川の研究姿勢が知れる良い本。