生態系と生物多様性

森林の物質生産のグラフ

森林の物質生産のグラフ

下の図は、人工林などの同樹種、同齢林における生産者の物質収支の時間的変化を現したものである。初めて見ると何が何だかわからないが、じっくり見てみると当たり前のことが書いてあるだけである。落ち着いて1つ1つの線の意味を見ていこう。

http://forests.world.coocan.jp/

上段のグラフ

上段では、現存量呼吸量について記してある。葉の現存量は始め急激に増加し、ピークを迎え、その後やや減少し、一定となる。葉の現存量の変化は、総生産量の変化と同じであるため、同一の曲線で描かれる。

葉の呼吸量は、葉の現存量の変化と同じパターンを示し、急激に増加→やや減少→一定となる。材の現存量とは、非同化部位(枝、幹、根)の量を示している。樹木が成長するに従って増加していく。また、材の呼吸量は材の現存量の変化と共に増加していく。

中段のグラフ

中段では総生産量と林全体の呼吸量を示している。総生産量は葉の面積によるため、ある時期から一定となる。しかし、幹等は太く肥大成長をするため、呼吸量は増加していく。総生産量から呼吸量を引いた値(網掛け部位)が、純生産量である。

下段のグラフ

中段のグラフから求められる純生産量のみをグラフ化したものである。葉の数が増えて急激に純生産量は増加するが、非同化部位が成長して呼吸量が増加して、純生産量は徐々に減少していく。

枯死量・被食量

上のグラフには描かれていないが、普通、このグラフには枯死・被食量が含まれる(下図(ク))。最終的に純生産量(下図ケ)=枯死・被食量となり、成長量(下図ケ)は0になる。

http://mondaienshu.html.xdomain.jp/

十分に成長した森のCO2吸収量

十分に森が発達(総生産量も呼吸量も一定となるぐらい)すると、CO2吸収量(総生産量)は確かに増加するが、CO2排出量(呼吸量)も増加する。その結果、成長量は0となり、植物体として蓄積できるCO2量は0となる。

つまり、温暖化対策として森林を増やそうとする場合、十分に発達した森林よりも、若い森林の方が良いと言える。

http://www.echigo-tsumari.jp/

アレンの法則・ベルクマンの規則

アレンの法則とは

恒温動物では、寒冷地に生活するものほど、耳・尾などの突出物が短くなることが知られており、これをアレンの法則と呼ぶ。突出物が短いと、放熱量が少なくてすむ。下には、各地に住むキツネの例を示している。温かい地方ほど、耳が長くなっている。

ホッキョクギツネ(北極圏)

ホンドギツネ(日本)

http://www.pz-garden.stardust31.com/

フェリックギツネ(北アフリカ)

http://www.pz-garden.stardust31.com/

ベルクマンの規則とは

恒温動物では、同種であっても寒冷地に住むものほど体重が重く・大型になることが知られており、これをベルクマンの規則という。体が大きくなるにつれて、体重当たりの表面積が減少し、放熱量が減少することで、寒冷地に適応していると考えられている。

ホッキョクグマ(北極圏)

http://seibutsu.blog.jp/

ツキノワグマ(日本)

http://aozora.xyz/

マレーグマ(マレーシア)

http://www.odd.jp/

体積と表面積の関係

実際に、動物を立方体に見立てて計算してみるとわかりやすい。

1辺が1mの立方体の場合

体積:1×1×1=1 m3

表面積:1×1×6=6 m2

1辺が2mの立方体の場合

体積:2×2×2=8 m3

表面積:2×2×6=24 m2

以上の計算では体積は8倍になっているのにも拘わらず、表面積は4倍の増加で済んでいる。つまり、恒温動物にとっては体積が増えるほど、体積当たりの表面積の割合が小さくなり、体温を維持するのに都合が良い。

逆ベルクマンの規則

ベルクマンのが成り立つのは恒温動物についてのみである。変温動物においては、自身で熱を維持することができないため、寒冷地では大型変温動物は生きることができず、小型化する傾向にある。これを逆ベルクマンの規則と呼ぶ。

http://doubutsuiine.tank.jp/

グロージャーの規則

恒温動物では、近縁な種間においては、寒冷地に生息するものほど体色が薄くなり明るい色調になるという定説があり、これをグロージャーの規則と呼ぶ。しかし、動物全般について適応できる規則ではなく、議論が多い。

http://www.biologyexams4u.com/

生態系と生物多様性

生物の多様性の定義

生物多様性には3つの側面がある。

①生態系の多様性

 森林、草原、外洋域、浅海域、湿原など様々な生態系が存在している。

②種の多様性

 生態系に応じて、様々な生物が生息し、相互作用している。

③遺伝子の多様性

 個体群内では遺伝子に多様性がある。遺伝子の多様性は環境の変化や病気に対応できる個体が存在する可能性を大きくしている。

撹乱

生態系を破壊して変化させる外的要因と撹乱と呼ぶ。撹乱が大きすぎると、生物種が減少する。また一方で、撹乱があまりに少ないと種間競争が激しくなり、競争的排除によって種数が減少する。つまり、撹乱が大きすぎず小さすぎずの中規模な撹乱によって生物種の多様性を維持することができる。これを中規模撹乱仮説と呼ぶ。

「撹乱」とは,生態系・群集・あるいは個体群の構造を乱し,資源・基質の利用可能量・物理環境を変えるような,顕著なイベントと定義されます。

 生物
生育環境を大きく変え,空いた空間,つまり次世代の個体が移入し利用できるハビタット(生息場所)を生み出すことを撹乱と呼びます。たとえば,森林生態系
の場合では,台風,ハリケーン,サイクロン,山火事,火山噴火,雪崩,などにより森林が大きく破壊されると,樹木が倒壊あるいは枯死したところでは,新た
な開いた空間が形成されます。


 
そのような場所は,一見すると荒廃地に見えますが,実はさまざまな生物に住み場所を提供するとともに,自然のプロセスとしての再生の場ともなります(更新
と呼ばれます)。その後,長い時間をかけての更新プロセスには決まった道筋はなく,非常にバラエティに富んでいます。撹乱と再生のプロセスにより,生態系
に多様性が生み出されます。

http://akkym.net/research/asm-disurbance.html

人為撹乱

人間によって生態系が破壊されることを人為撹乱と呼ぶ。焼き畑、森林伐採、乱獲などが挙げられる。人為撹乱の場合、生態系破壊の度合いが大きく、回復不能になる場合もある。

46億年の地球の歴史の中で、5回の「大絶滅」(オルドビス期、デボン期、二畳期、三畳期、白亜期)があり、気候変動や天変地異などで生物の大部分が絶滅しました。二畳期(2億5千万年前)には90%が消滅し、白亜期(6500万年前)には恐竜など75%が消滅しました。現在、ホ乳類の1/4、鳥類の1/9など、全生物の 25%が絶滅の危機にさらされています。現在の絶滅は「大絶滅」よりも急激で大規模で、生態系の破壊により、根こそぎの種の絶滅のため、約
2000万種の生物のうち、毎年5万~15万種(毎日
100~300種)の生物が今も絶滅し続けています。この絶滅の速度は過去の絶滅の数万倍です。こうしたことを受け、国連機関や世界的な研究所が次のよう
な報告を発表しています。

19世紀までの絶滅は、食糧や毛皮、羽毛などを目的とする乱獲によって、リョコウバトやトキのように特定の種の生物が絶滅してきました。しかし、現在は森
林伐採や河川の汚染、乱開発による生態系の “根こそぎの破壊”が進行しています。 (山の切り崩し、
湖沼や河川の埋立、河川や海岸の護岸工事、ゴルフ場、リゾート、コンビナートなどの開発や農薬などによる環境汚染など)とくに生物の宝庫といわれる熱帯林の破壊は深刻です。自然淘汰の 10,000倍の速度で絶滅が進んでおり、 30年以内に熱帯の植物や鳥類の25%が絶滅すると世界銀行が報告をしています。環境破壊や開発の加速を考えると、種の絶滅の加速は予測不可能なほど悲惨な状況です。

生物は互いに支え合っています。クマノミはイソギンチャクと、ワニチドリはワニと共生しています。私たちの体の中にも腸内細菌のような菌が住んでいます。
細菌類が全くいなくなると私たちも生きていけません。種の絶滅はその場の生態系の崩壊を意味しています。一種の生物の絶滅が引き金になって、ドミノ倒しの
ように人類を含めた生物の全滅につながる可能性があります。

http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/extermination.html

しかし、里山のように適度な人為撹乱は生物多様性を高めるのに一助している。

里山

里山https://www.toyota.co.jp/moritanken/text/c_what.html