ライオニゼーションとは
多くのホ乳類の性決定はXY型(雄がXY、雌がXX)です。雌はX染色体を2本持っていますが、そのうちの1本は発生初期の段階で凝集し、使われない状態となっています。この
片方のX染色体が不活性化している状態をライオニゼーションと呼びます。
発生初期の段階でどちらのX染色体が不活性化されるかは、細胞によってランダムに決定されます。下画像は活性化しているX染色体(Xa)と不活性のX染色体(Xi)です。
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三毛猫とライオニゼーション
三毛猫の毛の色を決定する遺伝子は、常染色体に存在する遺伝子Sと、X染色体上に存在する遺伝子Oが関係しています。SとOの遺伝子は次の形質を支配しています。
- S 白斑
- s 白斑なし
- O 茶色
- o 黒色
三毛猫(白・茶・黒)になるためには、S、O、oの遺伝子が発現する必要があります。常染色体の遺伝子型がSSもしくはSsの場合には白斑が生じます。
また、性染色体の遺伝子型がXOXoの場合、ライオニゼーションによってXOが発現している場所もあれば、Xoが発現している場所が生じます。
つまり、常染色体がSSまたはSs、性染色体がXOXoの場合、三色の毛色の三毛猫が誕生します。
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また、他の遺伝子の組み合わせと表現型は以下の通りです。
SS or Ssを持っている場合
- XOXO 白茶
- XOXo 三毛
- XoXo 白黒
ssを持っている場合
- XOXO 茶
- XOXo 茶黒
- XoXo 黒
雄の三毛猫が生まれる仕組み
通常、雄はX染色体を1本しか持たないため三毛猫にはなり得ません。しかし、極稀に染色体異常の個体としてXXYを持つものが誕生します。XXYを持つ個体のX染色体上の遺伝子がXOXoの場合、やはりライオニゼーションが働いて、三毛猫になります。しかし、これは30000万匹に1匹の確率であり、非常に珍しいです。
このX染色体が1本多い症状クラインフェルター症候群と呼ばれます。ヒトの場合には。学習障害、長い腕と脚、小さな精巣、無精子症などの症状が表れます。