自家受粉とは
被子植物の多くでは、花粉が同じ個体の柱頭に受粉した場合にも受精が起こる。これを自家受粉と呼ぶ。メンデルはエンドウが自家受粉できる性質を使って実験を行った。
自家受精は植物だけではなく、雌雄同体のカタツムリやミミズなどでも起こすことができる。しかし、これらの動物は通常は異なる個体の配偶子(精子・卵)が受精する。
自家不和合性とは
一方で、被子植物の中には、自家受粉しても受精できない植物もいる。このような性質を自家不和合性と呼ぶ。
自家不和合性はS遺伝子座には、S遺伝子と呼ばれる複数の遺伝子が密接して存在している。このS遺伝子が花粉と柱頭で一致する場合には、不和合を起こす。
例えば、S遺伝子座の遺伝子をS1~S3とすると、花粉がS1という遺伝子を持ち、柱頭がS1S3という遺伝子を持っていた場合、S1が一致しているので不和合となる。
自家不和合のメリット・デメリット
同じ個体内での受粉を防ぐことにより、他個体との交雑が起こり、遺伝的多様性を保つことができるメリットがある。
しかし一方で、被子植物の受粉は虫や風などに頼っているため、上手く他個体との受粉がなされない可能性もあり、受精のハードルが上がるのも事実である。