嗅覚は原始的な感覚
鼻は脊椎動物にだけ見られる器官です。鼻は物を食べる寸前に安全の確認のために使われます。嗅覚は「食の安全」という生命の根幹に関わるため、かなり古くから存在し、「鼻」という形で発達してきました。
また、嗅覚は原始的な本能との結びつきが強く、情動をも引き起こします。ナポレオンは恋人ジョセフィーヌに戦争に行っている間は風呂に入るなと命じたといいます(変態)。また、生物種によっては鼻はフェロモンを感知する器官でもあります。
そんな鼻ですが、やはり生物の歴史の中で、多様な進化を遂げました。面白い鼻を持つ動物たちを見ていきましょう。
サイガ(オオハナレイヨウ)
サイガはウシ一種でモンゴルなどに生息しています。。鼻腔内に呼気を温め湿らせる器官(鼻腔嚢)が発達しており、鼻が異様に隆起しています。
独特な顔つきをしていますね。
ホシバナモグラ
ホシバナモグラは体重が50gほどしかない小さなモグラです。ホシバナモグラの星形の鼻は、嗅覚のためではなく触覚のために使われます。星形の部分はアイマー器官と呼ばれる感覚器がびっしり並んでいます。エサを見分ける際に使うそうですよ。
テングザル
ボルネオ島に生息するサルです。オスだけが巨大な鼻を持っており、年々大きくなります。大きな鼻を持っている方がメスへの性的アピールになるとの説があり、性選択によって獲得された特徴であると考えられています。
ハネジネズミ
名前に「ネズミ」とついていますが、ネズミではありません。モグラの仲間と考えられていた時もありましたが、今では独立したハネジネズミ目として考えられています。
ズキンアザラシ
北極海に生息する大型アザラシです。オスは鼻の皮膚を膨らませることができ、ブルブルと振るわせてメスにアピールします。
キクガシラコウモリ
鼻の周りのヒダが発達しているコウモリです。ヒダは鼻葉と呼ばれ、エコーロケーションを行うとき、超音波をコントロールするのに役に立っていると考えられています。
Rhinolophus clivosus(和名なし)も面白い鼻を持っていますよ。エコーロケーションしまくりです。
スッポン
スッポン科に属する生き物は特徴的な長い鼻を持っています。この鼻をシュノーケルのように使い、呼吸をすることができます。そのため、スッポンは水中にいることが多く、見つけにくいです。
下画像はインドコガシラスッポンと呼ばれるスッポンで、全長は最大で180cmにもなります。
キタゾウアザラシ
アメリカ西海岸に生息する巨大なアザラシです。ゾウアザラシの鼻は、特に繁殖期において、非常に大きな音を発生するのに用いられます。ハーレムを形成するので、血だらけになるまでオス同士で戦います。
マンドリル
マンドリルのオスは鼻の部分が綺麗な赤色となっています。実はオスの尻は紫、陰茎が赤色であり、顔の配色と一致しています。つまり、オスの性的な魅力をアピールするために、顔の色が生殖器と同じになったのではないとも考えられています。
テングヘビ
マダガスカル島に生息するヘビです。鼻の形は、オスは細長く、メスはギザギザの葉に似た形をしています(下画像はメスです)。その機能については、まだよくわかっていないそうです。
ミツクリザメ
頭の先に伸びている吻が鼻っぽいのでノミネートです。もちろん、この吻は鼻ではなく、ただ頭の先頭が尖ったものです。海底の餌を探すのに役立っているといいます。
ヒメテングハギ
実はでっぱりは鼻ではありません。ただの頭の突起です。ピノキオの鼻っぽくて可愛いので掲載しました。