ケイ素とは?
ケイ素は地殻中で2番目に多く存在する元素です(1番目は酸素)。単体では存在せず、酸化物として存在します。
ケイ素の結晶は黒灰色の金属光沢を持つ共有結合の結晶です。半導体として利用されます。ダイヤモンド型の構造を持っていますが、ダイヤモンドよりも融点が低く、硬いですがもろいです。
なぜケイ素は半導体になるの?
また、高純度のケイ素は電気を僅かに通し、半導体としての性質を持ちます。これは、Si-Si結合エネルギーが小さく、光や熱を受けると共有結合が切れ、価電子が自由に動けるようになり電導性を持つためです。ケイ素は高温になるほど共有結合が切れやすくなるため、電導性も増します(金属は高温になるほど電導性は減少します)。
なぜケイ素の結晶はダイヤモンドよりも融点が低いの?
SiはCよりも原子半径が大きく、内殻電子が多いため、十分に電子軌道が重なることができないためと考えられています。
ケイ素Siの生成方法
二酸化ケイ素SiO2をMg(還元剤)と混ぜて加熱するとSiを得ることができます。これをゴールドシュミット法と呼びます。
SiO2 + 2Mg → Si + 2MgO
工業的にはケイ砂SiO2にコークスCを加えて加熱してSiを得ます。
炭化ケイ素SiCとは?
SiCはダイヤモンド型の共有結晶で、非常に硬いため研磨剤として利用されます。炭化ケイ素はケイ砂SiO2に多量のコークスCを加えて、1800℃で加熱することによって得ることが出来ます。
SiO2 + 3C → SiC + 2CO
二酸化ケイ素SiO2とは?
二酸化ケイ素は石英、水晶、ケイ砂などとして天然に存在します。SiO2の結晶は、Siの結晶のSi-SIの部分をSI-O-Siで置き換えた構造をしています。Si-Oの結合エネルギーが大きいため、SiO2の結晶は硬くて融点も高いです。
石英と水晶の違いとは?
どちらの成分もSiO2です。SiO2の造岩鉱物名を石英と呼び、石英の中で六角柱状の結晶の形をしたものを水晶と呼びます。水晶は石英の1つです。
二酸化ケイ素とフッ化水素との反応
二酸化ケイ素は安定した物質であり、殆ど他の試薬とは反応しませんが、フッ化水素やフッ化水素酸には溶かされます。
SiO2 + 4HF → SiF4↑ + 2H2O
SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O
二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムの反応
二酸化ケイ素は水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの塩基と熱融解させると、ケイ酸ナトリウムを生じます。これは徐々に中和反応が進むためです。
SiO2 + 2NaOH → Na2SiO3 + H2O
SiO2 + Na2CO3 → Na2SiO3 + CO2
水酸化ナトリウムをガラス瓶に保存すると、徐々にこの反応が起こり、Na2SiO3などが生じ、栓が取れなくなったりします。そのため、NaOHを保存する際には、ゴム栓を使用します。
水ガラスとは?
ケイ酸ナトリウムに水を加えて熱すると、粘性の高い液体になります。これを水ガラスと呼びます。SiO32-は長い鎖状のイオンであるため、水和しても拡散することができず、曲がりくねった状態で水中に存在します。
この水ガラスを乾燥させると、次の反応が起こります。
また、生じたH2SiO3は脱水してSiO2となります。そうして固まるため、陶器や段ボールの接着剤などに利用されます。
水ガラスの水溶液に塩酸を加えると、弱酸のケイ酸が遊離します。
シリカゲルとは?
ケイ酸を加熱して乾燥させたものをシリカゲルと呼びます。シリカゲルはSiO2・nH2Oの組成式を持つ物質です。組成式はSiO2ですが、ケイ酸H2SiO3全てが脱水されたわけではなく、一部は脱水されないでOH基として残っています。そのため、H2OやNH3などを水素結合によって吸着することができるため、乾燥剤や脱臭剤として利用されています。
ケイ酸塩とは?
ケイ酸イオンと金属イオンが結合したものをケイ酸塩と呼びます。ケイ酸塩は様々な岩石の成分となっています。ケイ酸塩を含む粘土などを高温に熱して作られる固体をセラミックスと呼びます。
アルミケイ酸塩とは?
SiO2の結晶と同じ構造を持ちますが、一部のSiがアルミニウムAlに置換された物質をアルミケイ酸塩と呼びます。Al3+とSi4+はイオン半径が似ているため、置換することが可能となっています。