細胞質遺伝とは
形質を支配する遺伝子が核ではなく細胞質に存在する場合の遺伝を細胞質遺伝と呼ぶ。具体的にはミトコンドリアや葉緑体に含まれる遺伝子の遺伝のことを指す。
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雄性配偶子由来のミトコンドリアは子どもに引き継がれることはない。精子などにはミトコンドリアが含まれているが、これは卵細胞の自食作用によって分解されてしまう。そのため、子は雌性配偶子由来の葉緑体・ミトコンドリアの遺伝子をそのまま引き継ぐこととなる。このような細胞質遺伝ではメンデルの法則などは一切成り立たない。
ミトコンドリアイブ
ミトコンドリアDNAは必ず母親から受け継がれる遺伝子である。DNA塩基配列は長い年月をかけて一定の割合で突然変異を起こすため、塩基配列の差異を比較すればいつの時点で分岐したのかを考察することができる。アラン・ウィルソンはミトコンドリアDNAを調査し、約20万年前のアフリカにいた女性に起源を遡ることができるとの仮説(イブ説)を打ち立てた。
しかし、これは聖書の神話が指すような「一人の女性から人類が始まった」ということではない。ある人類のコロニーには集団として多数の男性・女性がいたことが推測される。しかし、ミトコンドリアDNAは男の子だけが生まれると次世代に遺伝子が残らなかったり、子孫を作れなかった女性もいたはずである。それが長い年月の間に偶然によって、コロニーの個体全部が、同じ起源のミトコンドリアを持つもので占められるようになり、やがてこのコロニーの一部が、各地に分散していったということである(下画像)。
ふ入りの葉の細胞質遺伝
オシロイバナなどは「ふ」を持つ植物である。葉の細胞に含まれる葉緑体が正常であれば、クロロフィルなどの光合成色素が合成されて緑葉になる。しかし、葉緑体の遺伝子に異常が生じれば、光合成色素が合成されず緑色にならない。
オシロイバナの受精卵は正常な葉緑体と、異常な葉緑体どちらも持っている(異常な葉緑体のみだと、光合成ができないため死んでしまう)。これが、細胞分裂を繰り返すうちに次のように葉緑体を受け継いでいく。
- 正常な葉緑体を持つ細胞 → 緑葉
- 正常な葉緑体と異常な葉緑体を持つ細胞 → ふ入り葉
- 異常な葉緑体を細胞 → 淡黄色葉
その結果、オシロイバナには3種類(緑葉、ふ入り葉、淡黄色葉)の葉がある。もちろん、全て緑葉の個体もある。オシロイバナの葉緑体の遺伝子は枝ごとによって差が生じる。
細胞質遺伝の5行目
雌性配偶子ではなく、雄性配偶子ではないかと思いました。
間違っていたらすみません。
ご指摘いただきましてありがとうございました。こちらの記述ミスでした。修正いたしました。今後とも何卒よろしくお願いします。