森林の物質生産のグラフ
下の図は、人工林などの同樹種、同齢林における生産者の物質収支の時間的変化を現したものである。初めて見ると何が何だかわからないが、じっくり見てみると当たり前のことが書いてあるだけである。落ち着いて1つ1つの線の意味を見ていこう。
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上段のグラフ
上段では、現存量と呼吸量について記してある。葉の現存量は始め急激に増加し、ピークを迎え、その後やや減少し、一定となる。葉の現存量の変化は、総生産量の変化と同じであるため、同一の曲線で描かれる。
葉の呼吸量は、葉の現存量の変化と同じパターンを示し、急激に増加→やや減少→一定となる。材の現存量とは、非同化部位(枝、幹、根)の量を示している。樹木が成長するに従って増加していく。また、材の呼吸量は材の現存量の変化と共に増加していく。
中段のグラフ
中段では総生産量と林全体の呼吸量を示している。総生産量は葉の面積によるため、ある時期から一定となる。しかし、幹等は太く肥大成長をするため、呼吸量は増加していく。総生産量から呼吸量を引いた値(網掛け部位)が、純生産量である。
下段のグラフ
中段のグラフから求められる純生産量のみをグラフ化したものである。葉の数が増えて急激に純生産量は増加するが、非同化部位が成長して呼吸量が増加して、純生産量は徐々に減少していく。
枯死量・被食量
上のグラフには描かれていないが、普通、このグラフには枯死・被食量が含まれる(下図(ク))。最終的に純生産量(下図ケ)=枯死・被食量となり、成長量(下図ケ)は0になる。
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十分に成長した森のCO2吸収量
十分に森が発達(総生産量も呼吸量も一定となるぐらい)すると、CO2吸収量(総生産量)は確かに増加するが、CO2排出量(呼吸量)も増加する。その結果、成長量は0となり、植物体として蓄積できるCO2量は0となる。
つまり、温暖化対策として森林を増やそうとする場合、十分に発達した森林よりも、若い森林の方が良いと言える。