脱水素酵素の実験とは
酵母などを用いて、脱水素酵素の一種であるコハク酸脱水素酵素(コハク酸デヒドロゲナーゼ)の性質を調べる実験は有名である。手順として次のように行われる。
- ツンベルク管の主室に酵母液(ドライイーストを蒸留水に混ぜたもの)、緩衝液を加える。
- ツンベルク管の副室にコハク酸ナトリウム液、メチレンブルーを加える。
- アスピレーターで十分に脱気した後、密閉状態にする。これは、脱水素された水素原子が酸素(気体)と反応することを防ぐためである。
- その後、主室と副室の液を室温で混合し、反応させた。
実験結果
主室と副室の液を混合すると、メチレンブルーの青色が次第に薄くなっていく。
コハク酸脱水素酵素はコハク酸から水素を引き抜く作用を持つ。通常は、NADなどの補酵素が受け取るが、溶液内に大量にあるメチレンブルーも水素を受け取ることができる。
メチレンブルーは水素を受け取ると、構造が変化し、無色になる性質を持っている。
なお、ツンベルク管に空気を入れると、メチレンブルーの水素が空気中の酸素に奪われ、色が青色に戻る。
脱水素酵素とは?
脱水素酵素とは、物質から水素を引き抜く酵素である。コハク酸脱水素酵素は、クエン酸回路で使われる酵素である。
緩衝液を加える理由
酵素のしっかりとした反応を見るためには、緩衝液を加える必要がある。緩衝液はpHの変化を抑える溶液である。酵素反応の活性には最適pHがあり、pHを一定にすることは安定した反応を見るために重要である。