ちょっとディープな生物の世界

なぜ日本のヒガンバナには種ができないの?

ヒガンバナは3倍体だから

美しい赤い花を咲かせることで有名なヒガンバナですが、日本のヒガンバナは種を作りません。それは日本のヒガンバナが3倍体だからです。

有性生殖を行う生物は、母親から染色体を1セット、父親から染色体を1セット、計2セットを受け継ぎます。このような染色を2セット持っている生物を2倍体と呼びます。3倍体とは、この染色体のセットを3つ持っている生物です。突然変異による染色体の重複や、染色体分裂の失敗などによって、3倍体の生物は自然界でも発生します。

3倍体であると、花粉や卵細胞を作る際の減数分裂(染色体の数を半分にする分裂)を上手く行うことができません。2倍体ならば、染色体2セットを1セットずつ分ければよいだけですが、3倍体は均等に分けることができないのです。そのため、正常な配偶子が作られずタネなしになります。

種を作れなくともヒガンバナは球根で増えることができるので特に問題はないようです。また、ヒガンバナの中には2倍体のものもあり、それらは種を作ることができます。

同じように三倍体で種を作らない植物にジャガイモなどがあります。ジャガイモも花を咲かせますが種はできません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です