アーバスキュラー菌根菌とは
9割の植物は菌根菌と呼ばれる菌類と共生していることが知られている。菌根菌はリンなどの栄養分を効率よく吸収し、それを植物に渡している。一方、植物は合成した有機物を菌根菌に与え、お互いにメリットのある共生関係を作り上げている。
菌根菌の中には菌糸が植物の表皮気を突き抜け、皮層にまで到達するものもいる。このような菌根菌はアーバスキューラー菌根菌と呼ばれる。アーバスキュラー菌根菌は陸上植物の8割に共生していると考えられている。
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植物からストリゴラクトンと呼ばれる物質が放出されることにより、アーバスキュラー菌根菌の菌糸が植物へと誘引されることが判明している。例えば、土壌のリンが不足すると、植物はストリゴラクトンを合成する。そして、ストリゴラクトンを根から分泌して、アーバスキュラー菌根菌を誘引し、栄養不足を防ごうと調節する。ストリゴラクトンは根の枝分かれも促進することから、一種の植物ホルモンとして考えられている。
ストリゴラクトンの発見の経緯
元々はストライガと呼ばれる寄生植物を発芽させる物質として単離された。ストライガはトウモロコシなどの根から発せられるストリゴラクトンを感知して発芽し、寄生を行う。発見された当初はストリゴラクトンの役割がわからず、なぜ宿主側が寄生植物の発芽を誘導させる物質を放出するのかが不可思議であった、アーバスキュラー菌根菌との関係性が明らかにされることによって、その謎は解かれることとなった。