クロマチン構造による遺伝子発現調節
真核生物では、DNAは非常にコンパクトにまとめられており、RNAポリメラーゼが結合することができない。つまり、クロマチン構造が凝縮している部位では転写が抑制されており、ほどけている部位では転写が促進されていると言える。ほどけている染色体は、ハエやカのだ腺の巨大染色体や、未成熟卵のランプブラシ染色体で観察することができる。
ランプブラシ染色体
未成熟卵で見られる染色体。染色体からループ上のクロマチン構造が多数突出してブラシ状に見えるため、ランプブラシと命名された。
https://clinicalcenter.nih.gov/
ヒストンの修飾
クロマチン構造が凝縮するか、ほどけるかはヒストンの化学修飾が関与している。
- ヒストンにメチル基(CH3-下図赤)が付加されるとクロマチン構造の凝縮が進み、転写が抑制される。
- ヒストンにアセチル基(CH3CO-下図緑)が付加されるとクロマチン構造の弛緩が進み、転写が促進される。
DNAの修飾
DNAの特定の塩基にメチル基(CH3-)が付加されると、クロマチンの凝縮が進んだり、転写に必要なタンパク質の結合を抑制したりするため、転写が抑制される。メチル基はC(シトシン)に付加されやすい。