イーサネットとネットワーク
イーサネットはMACアドレスを宛先として通信を行います。LANケーブルの長さは100mが限界ですが、スイッチを間に入れれば距離を延ばすことも可能です。しかし、何百kmもこの方法で延ばすことは不可能です。そのため、広範囲のネットワークを構築するためには、NTTなどの通信回線を使用します。
通信事業者の専用線サービス
通信事業者は遠く離れたLANの間を光ファイバーなどを使って結んでいます。このようなサービスを専用線サービスと呼びます。イーサネットと専用線サービスの信号は同一ではないので、変換する必要があります。この変換を行う装置をDSU(Digital Service Unit)と呼びます。
専用線を超えた通信
専用線を超えた通信を行うには、相手のMACアドレスを知らなければなりません。しかし、初めは相手のMACアドレスは分からない状態であるため、MACアドレスを調べるために相手のIPアドレスを使用します。IPアドレスはコンピュータを識別する一意のデータです。
IPはInternet Protocolの略で、上述したような広いネットワーク(インターネット)での通信を行うためのプロトコルです。
IPはIPヘッダを書き込む
IPでは、データにIPヘッダと呼ばれる宛先や送信元のIPアドレスの情報が加えられます(カプセル化といいます。)。インターネット(WAN回線)では、イーサネットとは異なるフレームを使ってデータ通信を行いますが、IPパケットがあるため、相手のIPアドレスへとデータが送られます。また、通信相手がイーサネットの場合には、IPパケットの他にMACヘッダが加えられます。
IPパケットとルーティングテーブル
IPパケットの行き先を記録した一覧をルーティングテーブルと呼びます。IPを扱うコンピュータに備わっています。
IPアドレスが自分が所属するLAN内のコンピュータのアドレスであった場合には、相手のコンピュータに直接IPパケットが送られます。一方、自分が所属するLAN外のIPアドレスだった場合、WAN回線に繋がれているコンピュータ(ルータなど)にIPパケットを送ります。
IPアドレスとネットワークアドレス
IPアドレスはネットアドレスとホストアドレスから成ります。ネットワークアドレスは所属するLANのアドレスを意味します。ホストアドレスはネットワークに所属するコンピュータのアドレスを意味します。
サブネットマスク
IPアドレスを見ただけでは、どこからどこまでがネットワークアドレスかを判別することができます。そのため、サブネットマスクと呼ばれる数値を使い、ネットワークアドレスの範囲を指定します。
サブネットマスクは2進数で表すと、1の連続と0の連続の数値です。この1が並んでいる部分がネットワークアドレスの範囲を示します。
サブネットマスクに使える値
サブネットマスクは2進数表記で1の連続か、0の連続かであるため、使用する値が限られます。IPアドレスの始めの1つのブロックは必ずネットワークアドレスとなるので、サブネットマスクの先頭ブロックは必ず255となります。
サブネットマスク(10進数) | 2進数表記 |
0 | 00000000 |
128 | 10000000 |
192 | 11000000 |
224 | 11100000 |
240 | 11110000 |
248 | 11111000 |
252 | 11111100 |
254 | 11111110 |
255 | 11111111 |
CIDR表記とは
IPアドレスの何ビット目までがネットワークアドレスであるかを示す方法としてCIDR表記があります。サブネットマスクが255.0.0.0であった場合、2進数で表すと、11111111.00000000.00000000.00000000となります。つまり、前半8ビット目までがネットワークアドレスなので、CIDR表記は/8と示します。
IPアドレスが192.168.3.16、サブネットマスクが255.0.0.0であった場合、CIDR表記で192.168.3.16/28となります。
デフォルトゲートウェイ
IPパケットの宛先が同じLAN内でない場合には、デフォルトゲートウェイと呼ばれるコンピュータに送られます。ARPリクエストはWAN回線を超えては使えないため、同じLAN内にARPリクエストを送信し、デフォルトゲートウェイのコンピュータのMACアドレスを得ます。そして、IPパケットをデフォルトゲートウェイに送り、デフォルトゲートウェイはWAN回線へIPパケットを送り出します。
ルーターは中継機
IPパケットをWAN回線を介して送る場合には、中継機としてルータと呼ばれる機器が使われます。ルーターのポートを光ケーブル用のONUなどに接続して、WAN回線とLANを繋げます。
また、WAN回線を通じて送られてきたIPパケットが自分と同じネットワークアドレスであれば、ARPリクエストを使い、宛先のコンピュータのMACアドレスを調べ、データを送ります。