ちょっとディープな生物の世界

ヒトの受精過程

精子の卵管侵入

放出された精子は子宮を通過し卵管(下画像2~4)を登っていく。この上昇は子宮と卵管の筋肉の収縮によるものである。精子の鞭毛運動のみでは卵子に到達することはできない。精子と卵は卵管の膨大部で出会う。

https://en.wikipedia.org/

精子の放線冠侵入

卵子の周囲には透明体と呼ばれるゼリー状物質が存在し、さらにその外側を放線冠細胞が取り囲み放線冠(corona radiata)を形成している。精子は放線冠細胞の間に侵入し通過する。

https://www.ouhsc.edu/

精子の透明帯侵入と細胞膜の融合

透明帯は糖たんぱく質の殻である。精子は透明帯に接触すると先体からタンパク質分解酵素を放出し、透明帯を分解していく。そして、精子は卵子の細胞膜と接触する。この接触が起こると、卵子内の表層粒からリソソーム酵素が放出され、透明帯の性質が変化して硬化し、精子の侵入を妨げるようになる。これを透明帯反応(表層反応)とよぶ。

精子の細胞膜は卵細胞膜と融合する。その後、精子の核は卵子の中に入っていくが、細胞膜は外に残されたままとなる。

表層粒

https://www.studyblue.com/

受精後:細胞分裂の開始

卵細胞は減数分裂第二分裂を開始し、第二極体を放出する。第二極体は最終的に消滅する。減数分裂を終えた卵の染色体は女性前核として集合している。その後精子は女性前核に接近し、男性前核を形成する。そして、両者は密着し、核膜を消失し、卵割が始まる。卵割が始まる前の前核の時点でそれぞれの染色体のDNA量は倍加されており、スムーズに細胞分裂に突入できる。

http://whittakersembryology.co.uk/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です