死んだカエルの脚を電気で動かすことに成功
1780年にルイージ・ガルバーニは電気の火花によってカエルの脚を動かせることを発見しました。この発見は、ガルバーニ夫人がカエルのスープを飲みたかったために偶然発見されたとの逸話もあります。
神経や筋収縮の仕組みについて何もわかっていない時代ですから、ガルバーニの発見は人々に衝撃を与えました。ガルバーニの甥であるジョバンニ・アルディーニは、この技術を応用して、死体を蘇生することを試みました。
1803年:死体に電流を流す実験
ジョバンニ・アルディーニは、1803年、英国外科医師会が見学していた中で、絞首台から降ろした死刑囚に電気ショックを与えました。
始めは顔に電流を流すと、あごの筋肉がけいれんし、左目が開いたそうです。その後、耳と直腸に電極を差し込むと、死体は「右拳を突き上げ、両脚をばたつかせた」と当時のロンドン・タイムズは報じました。
アルディーニはこのような実験ツアーを実行し、切断した雄牛の頭に電流を流して下を引っ込ませるなどの運動を起こし、人々を驚愕させました。
アンドリュー・ユアの人体蘇生実験
1818年、スコットランドのアンドリュー・ユア博士は、死刑が執行された殺人犯の脊髄と坐骨神経に電極を繋げました。その時の様子が次のように記録されています。
「遺体のあらゆる筋肉が即座にけいれんを起こし、大きく動いた。まるで寒気がしてガタガタと震えているかのようだった」
最後にユアは前頭部とかかとに電極をあてると、顔が様々な表情に変化したようです。ユアは、この実験から「生命を復活させられた可能性もある」と記しています。
その後も1840年頃まで様々な人が人体蘇生を試みる実験を行いますが、ことごとく失敗しました。
なぜ筋収縮が起きたの?
筋肉は運動神経につながっています。この運動神経は電気信号(イオンの偏り)で信号を筋肉に伝えています。そのため、電気を流すと、神経内で人工的に電荷の偏りを作ることができ、活動電位を起こすことができます。そのため、脳が死んでいたとしても神経細胞と筋細胞が生きていれば、筋収縮を起こすことができます。それは「蘇生」とは全くかけ離れたものですけれども…。