一遺伝子一酵素説とは
1945年にビードルとテータムが「1つの遺伝子は、1つの酵素の合成を支配している」として提唱した説を「一遺伝子一酵素説」と呼びます。
しかしは実際、遺伝子は酵素以外のタンパク質の情報が記されていることや、複数の遺伝子によって1つの酵素(複数のタンパク室が組み合わさっている)が合成される場合もあることから、現在では一遺伝子一ポリペプチド説が正しい表現と言えます。
しかし、実際に一遺伝子一酵素説として成り立っている遺伝子も存在します。以下の酵素は、1つの遺伝子からなり、人の代謝において重要な働きを担っています。これらの酵素が欠損する
フェニルケトン尿症
フェニルアラニンをチロシンへと反応させる酵素を欠いています。その結果、フェニルアラニンがフェニルケトンとして尿中に排出されます。血液中にフェニルアラニンが蓄積することにより、嘔吐や知的障害などの症状が起きます。
クレチン症
チロシンからチロキシンを合成する酵素を欠いています。チロキシンは代謝を促進させるホルモンですが、チロキシンの重度の欠乏は発達障害などを引き起こします。
アルビノ
チロシンからメラニンを合成する酵素を欠いています。メラニンは頭髪、皮膚、虹彩に含まれる色素であり、アルビノの人は赤い目(血管が見える)、白い肌を持っています。
アルカプトン尿症
チロシンはアルカプトンとなりますが、アルカプトン尿症の方はアルカプトンを分解する酵素がありません。尿が黒くなるのが特徴です。また、アルカプトンより生じた黒色の色素は軟骨に沈着し、関節に異常が生じます。
【閲覧注意】アルカプトン尿症症状画像まとめ