月の土地は国家の所有は禁止されているが、個人の所有は禁止されていない
月の土地はアメリカのアメリカナルエンバシー社によって販売されています。CEOのデニス氏は、月の土地に関する法律を徹底的に調べたところ、1967年の宇宙条約しか存在しないことを知りました。宇宙条約では国家の月の土地の所有は禁止されていますが、個人の月の所有は禁止されていません。
ここに法律の抜け道があることを知ったデニス氏は、1980年にサンフランシスコの行政機関に月の所有権の申し立てを行いました。法律的には禁止されてはいないことでしたので、なんと受理されてしまいました。
デニス氏はさらに、月の権利宣言書を作成し、国連、アメリカ合衆国、旧ソビエト連邦に送りました。宣言書に対して異議申し立てがなかったため、会社を設立し、月の土地管理に乗り出しました。現在では月の土地を販売するという不動産業を営んでいます。
なぜ国連、アメリカ、ソ連は異議申し立てをしなかったの?
そもそも突拍子のない話であり、相手にされなかったということもあると思います。
しかし、もし仮に異議申し立てをしたとしても、その根拠を示す必要が生じます。法的な根拠はないわけですから、不毛な議論となりますし、また月の土地について新たな法律を国際社会で合意していくのも膨大なエネルギーと時間を要します。あまりにも現実的ではない点から、権利宣言書はスルーされたと考えられます。
土地の「販売」は詐欺ではないが、土地の「所有」の根拠はない
月の土地の売買は、法の抜け道を使っているだけであり、販売行為は違法ではないものの、土地所有に関しては法的な根拠はありません。
個人の月の土地の所有は禁止されてはいないものの、法によって守られているわけでもないのです。国際的な合意も全く取れていません。そのため、普通に考えて土地の所有は認められません。
なぜ人々は月の土地を買うの?
それでも月の土地を購入する人がいるのは、「月の土地の所有」という話題性にお金を支払っているだけなのです。なんて言ってもロマンチックですからね。