ちょっとディープな生物の世界

染色体異常と減数分裂-ダウン症候群・ネコ鳴き症候群-

減数分裂時における染色体数の異常

染色体数の異常は減数分裂時におけることがある。正常の減数分裂では染色体が均等に分裂するが、異常が起こった場合、時に相同染色体の分裂が起こらずに対になったまま片方の細胞に入ることがある。これを不分離と呼ぶ。その場合、娘細胞は22本、24本の染色体を持つ。

染色体数22本の細胞が染色体数23本の細胞と受精した場合、合計45本の細胞が生じる。このような1本染色体を欠如している個体をモノソミーと呼ぶ。一方、染色体数24本の細胞が23本の細胞と受精した倍には合計47本の細胞が生じる。このような1本染色体が多い個体をトリソミーと呼ぶ。この不分離は減数分裂の第一分裂、第二分裂どちらでも起こり、どの染色体でも起こる。

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ダウン症候群

21番目の染色体が過剰となり3本となった場合に起こる症状をダウン症候群と呼ぶ。症例の80%は母親側の減数分裂の不分離であり、残りの20%は父親の不分離によるものである。

ダウン症

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ダウン症候群のモザイク現象

この21番目の染色体の不分離は、受精後にも起こることがある。体細胞における不分離のため、有糸分裂不分離と呼ぶ。この場合にはある細胞はトリソミー、ある細胞は正常というモザイク状態となる。これをモザイク現象と呼ぶ。この場合、ダウン症候群の特徴が多く出ることもあれば、少なくでることもある。

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染色体の平衡転座と不平衡転座

ある染色体が何らかの原因で切断され、他の染色体に結合することがある。これを転座と呼ぶ。その結果、何の異常もなければ平衡転座と呼ばれる。

しかし、転座によって何らかの異常がみられる場合は不平衡転座と呼ばれる。例えば、14番目の染色体と21番目の染色体の長腕同士が転座を起こすと、21番染色体を1個余分に持った生殖細胞が形成される。その結果、染色体の数は正常であってもダウン症候群が生じる。

13、14、15、21、22番目の染色体は特に転座が起こりやすい。これは、減数分裂の際にこれらの細胞が密接するためである。

染色体の欠損:ネコ鳴き症候群

ある染色体が何らかの原因で切断されても他の染色体に結合しない場合がある。その場合、染色体の欠損が生じることがある。5番目の染色体の一部が欠損するとネコ鳴き症候群が生じる。ネコ鳴き症候群の具体的な症状はは、喉頭の発育不全によるかん高く単調な泣き声(子猫の鳴き声に似ている)や、発育が全般的に遅れて知的障害を持つ。

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