カドヘリンとは
カドヘリンとは細胞表面にある細胞接着に関わるタンパク質である。同種のカドヘリン同士は結合し、細胞を接着させる。
イモリの細胞を利用した実験
イモリの初期神経胚から予定表皮域と予定神経域を切り取ってトリプシンで処理すると細胞をバラバラにすることができる。トリプシンはタンパク質分解酵素であり、細胞間接着に関わるカドヘリン(タンパク質)を分解する。
これらの細胞を混ぜ合わせて培養すると、神経板の細胞は神経管を作り、これを包み込むように予定表皮域の細胞が外側に集まる。このような同種の細胞同士を接着させる物質の1つとしてカドヘリンは重要な役割を持っている。
カドヘリンには100種類以上の種類があり、同じ種類のカドヘリンを持つ細胞同士を強く接着させる。先程の例を見るならば、神経細胞にはN型カドヘリンがあり、殆ど全ての表皮細胞はE型カドヘリンがある。
カドヘリンの立体構造の維持には、カルシウムイオンが必要である。細胞培養液からカルシウムイオンを完全に除いた場合には、カドヘリンの機能が弱まり、細胞集団が形成されにくくなる。
イモリの神経管形成とカドヘリン
イモリの発生過程では、神経板を形成する細胞は神経胚の時期にカドヘリンの発現量が変化し、E型カドヘリンの発現量が減り、N型カドヘリンが増加する。そのため、神経板はカドヘリンが異なるため表皮から離れ、その後、N型カドヘリン同士が接着し、神経管を形成する。