遺伝子発現の調節とRNA
DNAから転写されたRNAは様々な修飾を受ける。その際に、遺伝子発現調節に関わる場合もある。
http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/rna/
修飾よるmRNA輸送調節
mRNAは5’末端にメチル化されたグアニンヌクレオチドが付加される。これを5’キャップと呼ぶ。3’末端には多数のアデニンヌクレオチドが付加され、ポリA尾部が形成される。このように、5’キャップとポリA尾部が修飾されたmRNAは核膜を通ることができ、核外に輸送される。一方、修飾されていないmRNAは核外に輸送されず、核内で分解される。修飾の有無で、mRNAの輸送を調節し、遺伝子発現を調節することができる。
RNAサイレンシング
mRNAの翻訳を阻害する短いRNAの存在が確認されている。短いRNAがmRNA翻訳を抑制する働きをRNAサイレンシングと呼ぶ。
RNA干渉
長い2本鎖RNAが酵素によって分断され、RISCと呼ばれるタンパク質に取り込まれると、短い一本鎖RNAが形成される。また、短い一本鎖RNAとRISCが複合体を形成する。複合体は、短い一本鎖RNAの塩基配列と相補性を持つmRNAと結合し、mRNA翻訳を阻害したり、切断したりする。この作用をRNA干渉(英語ではRNAi)と呼び、RNAサイレンシングのうちの1つである。
ncRNA
翻訳されないRNAをncRNA(non-coding RNA)と呼ぶ。マウスではncRNAはRNA全体の53%を占める。これらのncRNAは、RNA干渉のように遺伝子発現の制御に関わっていることが発見された。ちなみに、ヒトゲノム中で転写されるのは30%であり、その内1~2%が実際に翻訳され、98%はncRNAであると考えられている。