ちょっとディープな生物の世界

α-グルコースとβ-グルコースの違いとは?

α-グルコースとβ-グルコースの違い

グルコースにはα-グルコースとβグルコースがあります。これは一番右端のOHとHの向きの違いによるものです。

グルコースは水溶液中で環がほどけて鎖状になり、すぐに環状に戻るという状態を繰り返しています。その結果、図のような3種類のグルコースが生成されます。

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この内、環状のものをα-グルコース、β-グルコースと呼びます。鎖状のものは安定しておらず全体の1%にも満たない割合でしか存在していません。

α-結合とβ-結合

グルコースと有機物の間で脱水縮合が起こり生じる結合をグリコシド結合と呼びます。グルコース同士がグリコシド結合を起こすことで様々な糖が形成されます。

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グルコースはα-グルコース同士、β-グルコース同士でグリコシド結合して鎖状に延長していきます。α-グルコース同士の結合をα結合、β-グルコース同士の結合をβ結合と呼びます。なお、α結合にはいくつか種類があり、1番目の炭素と4番目の炭素の部位が結合するα-1,4結合や、1番目と6番目の炭素がの部位が結合するα-1,6結合などがあります。これにより分枝が発生します。β結合もα同様に、β-グルコース同士で結合していきます。

α‐グルコース・β-グルコースが形成する多糖

それぞれのグルコースが形成する多糖には次の種類があります。β-グルコースが使われているものはセルロースのみです。ヒトはβグルコース同士の結合を切る酵素を持っていないため、セルロースはエネルギー源として利用できません。

  • セルロース:βグルコースがβ-1,4結合
  • アミロース:αグルコースがα-1,4結合
  • アミロペクチン:αグルコースがα-1,4結合とα-1,6結合
  • グリコーゲン:αグルコースがα-1,4結合と8~14残基ごとにα-1,6結合

セルロース

グルコースが直鎖状に結合した多糖です。植物の細胞壁に使われており、強度を持っています。地球上に最も多く存在する多糖として知られています。

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アミロース

デンプンの主成分です。グルコース250~300個が直鎖上に結合したものをアミロース、グルコース1000個が分枝して結合したものをアミロペクチンと呼びます。デンプンはアミロースとアミロペクチンの混合物です。生体内では、アミロースを分解してグルコースを取り出し、エネルギー源として利用しています。

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アミロペクチン

デンプンの主成分です。アミロースとは違い、枝分かれしていることが特徴です。同様にエネルギー源として利用されます。

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グリコーゲン

肝臓内でエネルギー源を貯蔵する際に合成されます。アミロペクチンよりもさらに枝分かれしているのが特徴です。グリコーゲンは肝臓の重量に対して約10%ほど存在しています。肝臓には血糖値調節の役割があり、このグリコーゲンを分解してグルコースを供給しています。アミロペクチンよりも枝分かれが多いため、グルコースへの分解が速いです。

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まとめ

グルコースは鎖状になることによって、OHとHの位置がずれ、α-グルコースとβ-グルコースの2種類ができます。また、それぞれのグルコースが結合して作られる多糖にも違いが生じます。

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