ちょっとディープな生物の世界

【推薦入試・AO入試】志望理由書の書き方

志望理由書を書く目的

そもそも志望理由書を書く目的とは何であろうか。例えば、生物学部を志望する場合、生物学の魅力をつらつらと述べるような志望理由書が多々見られる。「iPS技術に感動して…生命の神秘を感じて…小さなころから生物が好きで…」、このような文章ははっきり言って自己満足でしかなく、志望理由書にならない。

志望理由書の目的は、志願者の人物像について極めて具体的に発表することにある。志願者が今までどのようなことしてきて、どのような学びがあって、志願に至ったのか。生物学がどれほど魅力なのかかを語るのではなく、自身がどれほど魅力的な人物なのかを語らなくてはならない。

自分が所属する高校の魅力を語ることに一生懸命な志望理由書にも良く出会う。また、まだ入学してもいない大学の魅力について多くの文字数を割く志望理由書にも良く出会う。そんな志望理由書を読むとき、志願者は一体どこにいるのだろうと疑問に思う。推薦・AO入試の志望理由書は、書面を通しての志願者と教授の出会いの場である。自分のことをしっかりと伝えようと思った時に、第3者について多く語るのはナンセンスだということは誰もが理解しているが、いざ文章に書こうと思うと忘れてしまう落とし穴である。

相手(大学)を良く知る

推薦入試は大学が掲げる理念と志願者の人物像がいかに一致しているかが大切となる。大学は酔狂で推薦入試を行っているわけではない。筆記テストだけでは計りきれない志願者を吟味し、自身の理念を遂行するための手段として推薦入試を実施しているのだ。志願者は大学についてより多くのことを知っておくべきだろう。

理念を知る

私立大学の最大の特徴は「理念」を掲げる点である。大学独自の理念を掲げ、特徴的な教育を行うのが私立大学の指名であろう。創設者の思想はもちろん知っておくべきだ(同志社大学ならば新島襄など)。また大学の歩みにおいて、大学の理念がどのように実践されてきたか、その歴史も知っておくべきである。

国公立大学では私立大学ほどの特色はないが、大学によって教育像ははっきりしている。パンフレットや学長などの書き物を読んで、大学が目指す教育をしっかりと理解しよう。

研究内容を知る

「何を学びたいかははっきり決まっていないけれど、生物分野で知識を深めたいです」というような文言を書いてしまいやすいが、できるだけ避けた方が良い。推薦入試の場合は、志願者が大学に何を求めているのかをはっきりと提示しなければならない。大学でどのような研究が行われいるのかを調べ、自身の興味・関心と合致していることを説明すべきだ。大学に入学してから勉強したい分野を決めるのでは遅すぎる。もちろん、入学後に様々な刺激を受けて研究分野が変わることは良いことだが、推薦での入学ではじぶんが具体的にどんな研究をしたいのか、なぜそれをしたいのかを深めておく必要があるだろう。

オープンキャンパスに必ず参加する

オープンキャンパスには必ず参加すること。ただ、手ぶらで参加するのではなく、事前に大学や研究内容についてリサーチした上で、オープンキャンパスで疑問をぶつけたら良い。そこで得られた教授との対話は、必ず志望理由書や面接の場で生きてくるだろう。

段落を整理する(構想を練る)

書き始める前に、全体の構想を練る必要がある。そのためには、段落を考えると良い。志望理由書の大きなカテゴリーは大体次の2つである。

  1. 大学を志望する理由
    1. ○○○○
    2. ○○○○
  2. 学科を志望する理由
    1. ○○○○
    2. ○○○○

段落に含まれる主張は1つでなくてはならない。主張が複数個ある段落は、非常に読みづらい。それぞれのカテゴリーで自身が最も言いたいこと(具体的な経験・根拠に基づいた学び)を整理してから肉付けを始めよう。大体の構成が完成したら、具体的に書き始める前に指導教員にチェックを仰ぐことをお勧めする。

指導教員選びのポイント

指導教員を選ぶポイントは、自分のことをよく知ってくれ、自分が信頼することができる教員に頼むことである。当人にとっては、高校時代の学びはまとまりのないように感じやすいものだが、客観的に見てみると脈絡を持った成長のストーリーとなっている。自分の成長を温かく見守ってくれ、自分の成長の意味を理解してくれている教員に文章を見てもらうのが一番良い。

国語担当や、進路指導担当に添削を求める場合が多いが、紋切型の志望理由書とならないように注意しよう。また、国語担当、進路指導担当だからといって、志望理由書指導に優れているとも限らない。推薦入試は数が少ないため、経験的に教員の技術が向上しづらい。自分が指導を依頼して、悔いが残らない教員を選ぼう。

結論を先に書く

日本語の特徴として、結論を文章の最後に書いてしまいやすい。また、時系列順に「お話」を展開するケースにもよく出会う。「お話」形式は幼稚な印象を受けるため、避けた方が良いが、この形式にしてもやはり、結論が最後にくる。しかし、結論が最後にある文章はとても読みにくい。

理解しやすい文章作成のためには、始めに大枠を提示する必要がある。①大学を志望する理由、②学部学科を志望する理由を、一文でまとめてそれぞれの段落の冒頭で提示しよう。細かい段落においても、その段落の結論を簡潔に1文でまとめてから話を始めると良い。

また、他人にものを伝える時の基本的な段階として、①主張、②理由、③具体例(根拠となる経験)の順番があることを頭に入れておこう。この順番がバラバラだと、非常に混乱しやすい文章になりえる。

曖昧な表現をなくす

「感動した、感銘を受けた、衝撃を受けた…」など、志望理由書には感情的表現が多用されやすい傾向にある。その感動をしっかりと言語化してこなかった結果であろうと思う。感動や衝撃は、自身が変化することによって生じるものである。自身の何が変化したのかを具体的に言葉で伝えよう。そこに、あなたらしい人格が表現されるだろう。

とにかく具体例(根拠)を

志望理由書を書く上で何より重要なのは根拠だ。高校生は経験が浅いためか、声高らかに理想は語るものの、その根拠が提示されていない場合が多い。しかし、根拠のない主張は殆ど意味のないものである。

例えば、ある大学の「国際的視野」に魅かれたとしよう。何故、自分が国際的視野に魅かれる人間であるのか、根拠を提示しなければただの浮ついた海外への憧れと捉えられかねない。自身が国際的視野に立った時に目が開かれた経験、海外留学、海外訪問、外国人との交流の経験などの根拠が提示されることによって、初めてその思いが本物なのだと相手に伝わるのである。

根拠のない文章は死んでいると思った方が良い。今一度、自分の文章はしっかりと息をしているか確認しよう。

出願期間の最初の日に出す

文章は、自分の精神状態そのものである。焦りながら書けば、それがもろに相手に伝わり、しっかりと準備してこなかった印象を受ける。出願期間の最後、消印有効に間に合わせるように書くのではなく、出願期間の始めの日に投函するようにしよう。

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