ホメオティック遺伝子とホックス遺伝子の違い

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ホメオティック遺伝子とは

ホメオティック遺伝子とは、突然変異を起こすとホメオティック突然変異(身体のある部位が別の部位に換わる突然変異)を起こす遺伝子のことを指す。

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ホックス遺伝子とは

それでは最大の混乱を生じるホックス遺伝子のいくつかの定義を並べてみたい。

ホックス遺伝子という調節遺伝子は、分節遺伝子によって形成された体節が、頭・胸・腹のどの部位になるかを決める。ホックス遺伝子に突然変異が起こると、体のある部位だけが別の部位に換わる突然変異体となる。

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前後軸に沿った形態の形成に中心的な役割を果たしている調節遺伝子群をホックス遺伝子群と呼ぶ。ショウジョウバエのホメオティック遺伝子もホックス遺伝子の1つである。

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脊椎動物を含む多くの動物で、ショウジョウバエのホメオティック遺伝子とよく似た塩基配列があり、染色体上で集まって並んで存在する遺伝子群が発見された。それらは、ショウジョウバエのものも含めてホックス遺伝子と呼ばれる。

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ホメオボックスに相同性の高い塩基配列領域をもつ遺伝子の総称。

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どちらもホメオボックスを持つ遺伝子

ホメオティック遺伝子とホックス遺伝子の共通点として、どちらもホメオボックスと呼ばれる約180塩基対の共通した配列を有することが挙げられる。ホメオボックスとは、ホメオドメイン(DNAに結合するタンパク質構造)をコードしている塩基配列である。ホメオボックス遺伝子は生物に普遍的に存在し、ゲノム中に特徴的なクラスターを形成しているHox遺伝子群と、Hox以外のゲノム中に散在するnon-Hox遺伝子に大別される。

下表はホメオボックスの塩基配列の一部である。異なる生物種においても塩基配列に類似性が見られる。

ホメオドメイン

ホメオドメインとは

ホメオドイメインとは、DNAに結合する機能を有するヘリックスターンヘリックス構造のことである。ホメオドメインは60のアミノ酸からなる。

ホメオドメイン

http://csls-db.c.u-tokyo.ac.jp/

ホメオボックスは、DNAに結合するために調節遺伝子が持つ共通の領域である。もちろんその中には、体節決定以外の調節遺伝子も福間らえる。ホメオボックスを持つ遺伝子はクラスター構造を取るものと,クラスター構造を取らないものに大きく分けることができる。クラスター構造を持つものには、ショウジョウバエのホメオティック遺伝子と脊椎動物のホックス遺伝子とがある。これらはヒト,マウスなどで様々な呼び名が使われていたが,最終的にHoxA, HoxB, HoxC, HoxDと統一され,全ての脊椎動物で共通した名前を使っている。

ホメオティック遺伝子とホックス遺伝子の違い

ホメオティック遺伝子の厳密な定義は、ホメオティック突然変異を生じさせる遺伝子のことである。ホメオティック突然変異とは、名前の通り、ホメオティック突然変異を生じさせる遺伝子のことである。ショウジョウバエの場合、lab、pb、dfd…など多くのホメオティック遺伝子がある。これらのホメオティック遺伝子は調節遺伝子であるため、ホメオボックス遺伝子を持っている。

一方、ホックス遺伝子はホメオボックス遺伝子(ホメオドメインをコードする遺伝子)を持つ遺伝子のうち、形態形成に関係した遺伝子の総称であると言える。特に脊椎動物の場合には、ホックス遺伝子がクラスター(集合)構造をしており、複数のホックス遺伝子によって1つの部位が特徴付けられている。

http://spider.art.coocan.jp/

ショウジョウバエのホメオティック遺伝子はホメオボックスを有して形態形成に関わる遺伝子のため、ホックス遺伝子である。脊椎動物などでは発生様式が極めて複雑であり、ショウジョウバエのようなホメオティック突然変異体が生まれづらい。ホメオティック突然変異体を生じさせる遺伝子がホメオティック遺伝子とするならば、その範囲は極めて狭いものとなるだろう。しかし、マウスなどでも体節を決定する同様の遺伝子は存在するわけで、それらの名称をホックス遺伝子と呼んでいる。ホメオティック遺伝子の定義が、さらに広くなったものがホックス遺伝子であると言える。もちろん、ショウジョウバエのホメオティック遺伝子をホックス遺伝子と呼んでも差し支えはない。しかし、脊椎動物のホックス遺伝子をホメオティック遺伝子と呼ぶことはしないようである。

まとめると、次のような表になる。

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