ちょっとディープな生物の世界

中心体と細胞分裂

中心体とは?

動物細胞中で微小管形成の基点として働く構造物を中心体と呼び、その中心に存在する構造を中心子(下画像)という。 別名、中心小体中心粒ともよばれる。

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中心体は中心子とそれをとりまく周辺物質から構成されている。

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中心体の役割

中心体は別名微小管形成中心とよばれ、細胞が分裂期に入ると両側に位置して、微小管を伸ばして星状体(中心粒から微小管が伸びた構造物)の形成を始める。

動物細胞では、さらに微小管(紡錘糸)が成長して染色体に結合し、紡錘体が形成される。下画像では中心体、紡錘糸、染色体が繋がった構造物を紡錘体と呼ぶ。

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植物細胞の微小管形成

通常の植物細胞は中心体を持っていないが、微小管形成中心があり、そこから紡錘体微小管が成長する。コケ、シダ、裸子植物等は精子を形成する際に中心体が出現する。

photo by sci.u-hyogo.ac.jp

細胞分裂の位置決定

紡錘体の位置によって収縮環の出現する場所が異なることが知られている。収縮環はアクチンフィラメントの環で、細胞質を分裂させる役割を持つ。植物細胞では収縮環の代わりに、隔壁となる細胞膜と細胞板を新生する。

収縮環
photo by bio.miami.edu

両極から中心体から伸びた紡錘糸が、細胞膜に達するとシグナルが表層に伝わり、収縮環形成が始まる。収縮紡錘体が中央にあれば細胞質は均等に分裂するが、紡錘体が片方に偏れば、不均等分裂が起こる。発生初期に起こる不等割などは、紡錘体の位置の偏りによって生じている。

ひとたびシグナルが表層に伝えられれば、微細なガラス管で中心体を吸い取っても、分裂を止めることはできない。また、細胞を遠心して紡錘体の位置を別の部位に移動させると、新たに分裂面を生じさせることもできる。

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