呼吸に関係する物質の量的関係

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

呼吸に関わる物質の量的関係

呼吸は解糖系、クエン酸回路、電子伝達系の3つに分類されるが、それぞれの化学反応式は教科書や参考書によって異なる場合が多く、ある所が省略されていたり、ある部分が詳しく書かれていたりする。改めて、それぞれの量的関係を確認していきたい。

https://www.britannica.com/

解糖系

グルコースから2個ピルビン酸を作る反応である。

取り込まれるもの

  1. C6H12O6
  2. 4ADP + 4H3PO4
  3. 2NAD+

出すもの

  1. C3H4O3
  2. 2NADH + 2H+
  3. 2ATP
  4. 2H2O

これらの物質の出入りをまとめると次のような式になる(東京書籍 生物)。

C6H12O6 + 2ADP + 2H3PO4 +2NAD+ → 2C3H4O3 + 2NADH + 2H+ + 2ATP + 2H2O

しかし、他の参考書には次のように書かれることもある。

C6H12O6 + 2NAD+ →  2C3H4O+ 2NADH + H+ + 2ATP

この式のどちらが正しいかと言われれば、どちらもある面では正しいし、ある面では不足していると言える。

解糖系全体では水分子の出は0である

先程の東京書籍の化学反応式では解糖系で水分子が2つ生じることになっているが、呼吸全体を示す式においては解糖系の2H2Oは含めない。

C6H12O6 + 6H2O + 6O2 → 6CO2 + 12H2O(この12個の水分子は電子伝達系で生じるものである)

その理由は次の引用の通りである。

まず、解糖系ではGAPから1,3-BPGへの反応の際にATPを使わずにリン酸化するのに水が出ないので、実質的に水を取り込んだことになります(グルコース1分子あたり2分子の水を取り込む)。また、2-PGからPEPへの反応に際して、素直に水が取れます(グルコース1分子あたり2分子の水を放出)。ですから反応に直接関与する水分子だけを見ると解糖系では水を放出していることになりますが、リン酸化の際の実質的に水の出入りを計算に入れた場合は、差し引き0で、解糖系全体では水分子の出入りがなくなります。

http://www.photosynthesis.jp/

とてもややこしいことであるが、リン酸化の際に水が一緒に取り込まれているというイメージである。そもそも、リン酸結合を形成する際には水が発生する。それは、ATP合成の際を例に見れば理解しやすい。

ADP + H3PO4 + エネルギー ⇔ ATP + H2O

同様に、解糖系でもリン酸が結合する際には、本来水が出るはずであるが、出ておらず無水結合している。これは、もっと丁寧に言うならば、水がリン酸化する際に出たが、すぐに物質に取り込まれたと言えるだろう。

C6H12O6 + 2ADP + 2H3PO4 (Pi +  H2O リン酸化の際に水が生じるがすぐに取り込まれる”)+2NAD+ →  H+ + 2ATP + 2H2O + 2NADH 

反応式の表面に出る水分子だけではなく、リン酸化などの際の実質的な水分子の動きも考慮する必要があります。

http://www.photosynthesis.jp/

リン酸を示す式においてはリン酸に水分子が含まれると考えると、右辺に水分子を記している東京書籍の反応式が正しいし、リン酸を示さない式においては右辺にH2Oを書くべきではないと言える。

クエン酸回路

2個のピルビン酸を脱水素・脱炭酸し6CO2にする反応である。

取り込まれるもの

  1. 2C3H4O3
  2. 6H2O
  3. 2ADP + 2H3PO4
  4. 8NAD+
  5. 2FAD

出すもの

  1. 6CO2
  2. 8NADH + 8H+
  3. 2FADH2
  4. 2H2O(回路に再度組み込まれる)

クエン酸回路の水の出は0である

ATPの合成・分解は、ADP+リン酸とATP+水の間の変換が基本であるが、他の反応が組み合わさると見かけが異なってくる。αケトグルたる酸からコハク酸が生じる反応段階で、ADPとリン酸からATPがつくられるときに、普通はATP合成とともに出来るH2Oがおもてに表われずに反応に使われる(東京書籍 生物)。ここでATPとともにH2Oが生じ、このH2Oが反応に取り込まれたと見なすため、呼吸全体(下化学反応式)の化学反応式には登場しない。

C6H12O6 + 6H2O + 6O2 → 6CO2 + 12H2O(この12個の水分子は電子伝達系で生じるものである)

電子伝達系

解糖系とクエン酸回路で生じたNADH+、H+、FADH2を用いて、ATPを合成する反応である。

取り込まれるもの

  1. 6O2
  2. 34ADP + 34H3PO4(最大)
  3. 10NADH + 10H+
  4. 2FADH2

出すもの

  1. 10NAD+
  2. 2FAD
  3. 12H2O
  4. 34ATP(最大)

電子伝達系では、10NADHからは20個の電子、2FADH2からは4個の電子が放出される。

10NADH → 10NAD+ + 10H+ + 20e

2FADH2 → 2FAD + 4H+ + 4e

計24個の電子がH+とO2に渡され、 12H2Oが生成される。

24H+ +  24e + 6O2 → 12H2O

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*