恒星の明るさ=等級
恒星の明るさは等級と呼ばれる指標によって示される。地球から見た等級のことを見かけの等級と呼ぶ。投球には1等~6等までがあり、1等は6等の100倍の明るさを持つ。1等以上の明るさを持つ恒星は0等、-1等星と呼ぶ。
絶対等級
見かけの明るさでは、遠い星ほど暗く見え、近くの星ほど明るく見えるため実際の明るさの指標にはならない。そこで、恒星の距離を計算式に入れて求める等級を絶対等級と呼ぶ。恒星本来の明るさは、距離を32.6光年としたときの明るさに換算する。
恒星の明るさから半径を導く
一般的に恒星が放出するエネルギーの総量は表面積が大きいほど大きい。つまり、エネルギーは表面積に比例する。半径がRの恒星が1秒で放出するエネルギー(光度)L[W]は次の式で表せられる。
L = 4πR2・E
(E:1秒間に放出されるエネルギー)
Eの値は、シュテファン・ボルツマンの法則によって得ることができる。シュテファン・ボルツマンの法則とは、黒体(全ての波長の放射を完全に吸収する物体)から放出される電磁波のエネルギーと温度の関係を表した物理法則(下式)である。
E = σT4
(σ:定数5.670×10-8W/m2・K4、T:表面温度(K))
このシュテファン・ボルツマンの法則の式を、先ほどの式に代入すると次のようになる。
L = 4πR2・E = 4πR2・σT4
結果、光度Lと表面温度Tから半径Rを求めることができる。
恒星の距離
近くの恒星までの距離は三角測量の考え方を使って計ることができる。三転測量とは下の画像のような、海上に浮かぶ船を2点からの正確な角度を測ることによって、陸からの距離を計算できるというものである。
星の観測の場合は、上記のようなAとBの2地点がしっかりと離れている必要があるため、夏と冬の地球の位置の差を利用する。夏と冬では位置がずれるため、角度pが生じる。この角度pを年周視差と呼ぶ。年周視差がわかれば三角測量の原理を使って恒星までの距離を計算することができる。
分光視差
年周視差の弱点は、恒星が遠すぎると年周視差が小さくなりすぎて測定できなることである(人工衛星0.001までは測定可能であるが)。そこで、恒星が発する光のスペクトルから絶対等級を推測し、絶対等級Mを求める式(下式)に代入してp(分光視差)を求めて距離を計算する。
M = m + 5 + 5 log10 p
(M:絶対等級、m:見かけの等級、p:分光視差)