精巣内の始原生殖細胞
始原生殖細胞は精巣内の性索の中に存在し、支持細胞に囲まれている。性索とは生殖隆起内部の結合組織中へ何本もの索状に枝分れした組織であり、のちのちに精巣となる部分である。下画像では性索がひも状組織へと分化していく様子が描かれている。
この支持細胞は精巣表皮から分化したものであり、セルトリ細胞と呼ばれる。
https://embryology.med.unsw.edu.au/
セルトリ細胞の役割
セルトリ細胞の主な役割は次の通りである。
- 生殖細胞を支え保護する。
- 減数分裂を開始する物質を分泌する。
- アンドロゲン結合たんぱく質を分泌する。アンドロゲン結合たんぱく質はテストステロンを濃縮する働きがあり、テストステロンが高濃度であることによって生殖器官としての働きが維持されている。
精細管の形成
思春期に入る前に、性索と呼ばれるひも状の組織の内部に空洞が生じ、精細管(seminiferous tubles)が形成される。精細管は睾丸の中に密集したパイプのような組織である。
http://ccert.info/testicle-diagram/
精原細胞の形成
精細管が形成される頃には始原生殖細胞は分裂・分化し、精原細胞となる。精原細胞にはA型精原細胞とB型精原細胞がある。A型精原細胞は体細胞分裂を繰り返し、幹細胞として精原細胞を供給し続ける。一方、B型精原細胞は一次精母細胞へと分化する。
一次精母細胞は減数分裂を開始し、二次精母細胞となり、その後、精細胞を形成する。この精原細胞から精細胞までの分裂においては、細胞質分裂は不完全であり、細胞質橋をもって連結されている。つまり、精子が遊離するまでには精巣内において巨大な生殖細胞の集団を作り出している。
精子完成(精子変態)
精細胞は変態を経て精子となる。この過程を精子完成または精子変態と呼ぶ。具体的には先体の完成、細胞質の脱落、核の濃色、尾の形成が起こる。精細胞が変態を完成するまでには64日間を必要とする。
精子変態が済むと、精子は精細管を通って精巣上体へと移動する。図のA~Dの範囲が精巣上体である。精巣上体の中では精子は活発に運動をしている。
異常精子
卵細胞が核を複数個持っていた場合には成熟する前に死滅するが、精子の場合には異常精子として成熟が進む場合が多くある。異常精子が全体の1/4以上になった場合は、生殖能力が低下することが確認されている。
こちらはうまく泳げない異常精子の映像です。