ちょっとディープな生物の世界

光合成-カルビン・ベンソン回路-

カルビンベンソン回路

カルビンベンソン回路は葉緑体のストロマで行われている反応である。

http://www.hamajima.co.jp/

カルビンベンソン回路は外界から取り入れたCO2を化合させ、最終的にグルコースを作り出す。

カルビンベンソン回路

https://cnx.org/

カルビンベンソン回路の反応は一見複雑そうに見えるが、次の2段階に分けて考えればわかりやすい。

①RuBP→PGAの反応

CO2は始めにC5化合物(炭素が5個ある物質)のリブロースビスリン酸(RuBP)と反応し、2つのC3化合物のホスホグリセリン酸(PGA)となる。この反応はRubisCOと呼ばれる酵素によって進められる。

ルビスコ

②PGA→GAP→RuBPの反応

PGAはチラコイド膜で合成(光リン酸化)されたATPによってリン酸化された後、NADPHによって水素と電子を渡され(還元され)グリセルアルデヒドリン酸(GAP)となる。GAPはいくつかの反応過程を経て、再度リン酸化されRuBPに戻る。この過程でグルコースが合成される。

カルビンベンソン回路

http://www.ncourageteens.com/

この過程を化学式で表すと、次のようになる。量的関係が非常に重要となるので、下の式は必ず暗記しておこう。

6CO2 + 12NADPH + 12H+ + 18ATP
→ C6H12O66H2O + 12NADP+ + 18ADP + 18リン酸

6H2Oがカルビンベンソン回路が出ることになっているが、H2Oがきちんと描かれた図を見たことがない。しかし、実際にはカルビンベンソン回路全体の反応で差し引き水分子6個が抜けるので、そのことは頭に入れておこう。

18 COMMENTS

a

一つ気になることがあるんですけど
「NADPH2で還元」されるはずなのに図中ではなぜ「NADP」がカルビンベンソン回路の物質と反応して「NADPH2」になってるんですか?
これではカルビンベンソン回路の物質がNADPによって酸化されてるじゃないですか

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管理人

本当ですね。画像に不備があったようです。
間違ったものを紹介し、申し訳ありません。
仰るとおり、NADPHがカルビンベンソン回路の物質にH+と2e-を渡して(還元して)、NADP+になります。
ご指摘ありがとうございました・w・

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むい

すみません。どこをどう訂正すればいいのか、詳しく教えていただくことはできますか?

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管理人

>むいさん
コメントありがとうございます。aさんのご指摘の後、画像を変更しました。
訂正済みの画像が貼られているので、安心して見ていただければと思います。

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むい

そうなんですか!
とてもわかりやすくて、一番見やすいです!( ˆoˆ )/
本当にありがとうございます!

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管理人

そう言っていただけるととても嬉しいです・w・

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ナオキ君

高校で生物を教えている者です。
色々なサイトを見ていつも思うのですが、一番最後の式のように18ATPを反応式に組み込むとすると、加水分解に使われる18H2Oも書き込まなければならないのではないでしょうか?
私が教えるときは、ATPは反応式の中には組み込まないようにしています。

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管理人

>ナオキ君さん
コメントいただきありがとうございます。
ATPは、H2Oとの反応ではなく、カルビンベンソン回路内の物質と反応によってADPになるため、H2Oを書き込まないのだと思います。
例えば、ATPは、ホスホグリセリン酸(PGA)からHを取り、Pを置換して、ADPとなります。Pを受け取った物質は1.3-ビスホスホグリセリン酸と呼ばれます。「ビスホスホ」とは、2つリン酸化されているという意味です。ATPを反応式に組み込む理由としては、エネルギー供与だけでなく、化学物質として結合に関わるからなのではないでしょうか。

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ナオキ君

しつこくてすみません。ATPからリン酸基が転移されるので加水分解ではない事は当然知っています。私が言いたいのは、「化学反応式」として成立させるためには右辺と左辺の整合性を考えなければならないということです。「化学反応式」として成立していないのであれば、反応式に組み込むべきではないという事です。書き込むのであれば反応式の→の所に弧の字で18ATP→18ADPならわかります。
まあ、ウィキペディアの呼吸などを見ていると、左辺にADPも何もなく、いきなり右辺に+2ATPとか出てきますので、呆れてしまいますが・・・。

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ナオキ君

ついでに言いますと、カルビン・ベンソン回路から6H2Oが出ていく場所がNADPHが入るところになっていますが、他の図でもよく見かけます。ビスホスホグリセリン酸×12分子から6H2Oが出るとなると、O原子は6個しか変化してないですよね。全体で12分子なのに。ここもおかしいです。
最近の教科書では「カルビン・ベンソン回路全体から(差し引き)6H2Oが出る」と記述されています。

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まさかり

疑問があるのですが、「PGAは『光化学反応』で合成されたATPによってリン酸化」とありますが、『光リン酸化』で合成されたATPではないのですか?私は、光合成色素が光を吸収し、そのエネルギーを使って反応中心クロロフィルから電子を放出させるところまでを光化学反応というふうに捉えているので、上に書いたように思いました。間違っているところがありましたら教えてもらえると助かります。

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管理人

>まさかりさん

コメントいただきありがとうございました。
ご指摘の通りだと思います。誤った記述でした。訂正いたしました。申し分けありません。
また、何かありましたらコメントいただければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします・w・

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まさかり

分かりました。こちらこそ丁寧な返答ありがとうございます。分かりやすいサイトだと思いますのでこれからも頑張ってください!

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管理人

ありがたいお言葉ありがとうございます;w;
また色々と改良していきたいです。

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管理人

コメントありがとうございます。
理解するポイントは物質変化です。

RuBP→PGA→GAP→RuBP

それぞれの反応で何の物質が入ってくるのか、出ていくのかを押さえられればカルビン回路は理解しやすいかと思います。

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mmm

18ATPがよく分かりません。分かりやすく説明していただけると嬉しいです。

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Tamariko

コメントいただきありがとうございます。
上から2番目の図では3個のCO2が入り、消費されるATPは計9個となっています。そして回路から出るグルコースは1/2という数になってしまっています。
このグルコースの係数を整数(つまり1)に合わせるために、それぞれの物質の数を2倍しているわけです。CO2も6個、ATPも18個となっています。

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