胚葉の誘導

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形成体

ある領域の分化が、その領域に接した他の領域からの影響によって決定される現象を誘導という。また、誘導作用を持つ領域を形成体(オーガナイザー)と言い、代表的なものに原口背唇部などがある。

原口背唇部

中胚葉誘導

原口背唇を含む中胚葉は、内胚葉の誘導によって分化したものである。ニューコープの実験では、予定内胚葉域と予定外胚葉域を隣接させると、予定外胚葉域が中胚葉に分化した。この現象を中胚葉誘導と呼ぶ。

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中胚葉誘導の仕組み

植物極側にはVegT、Vg-1と呼ばれる調節タンパク質が局在している。また、背側ではディシェベルトタンパク質の働きによってβカテニンの濃度が上昇する。VegT、Vg-1、βカテニンは、予定内胚葉域にノーダル遺伝子を発現させ、ノーダルタンパク質の濃度勾配ができる。この濃度勾配により、中胚葉が誘導される。

βカテニンの働き

また、βカテニン(背側に局在)はコーディン遺伝子を発現し、背側が決定される。また、βカテニンが存在しない腹側においてはBMP遺伝子が発現し、腹側が決定される。

βカテニン

神経管の誘導

中胚葉域にある原口背唇は原腸胚時に陥入(図の⑥)し、外胚葉を裏打ちする。そして、誘導物質を分泌し、神経管へと誘導させる。

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まとめると胚葉の誘導は次のようになる。

内胚葉(ノーダルタンパク質の濃度勾配)→中胚葉(原口背唇含む)→神経管

目の誘導

内胚葉から中胚葉が誘導され、続いて神経管が誘導される。その後、脳が分化し、眼胞・眼杯が分化する。眼胞・眼杯が形成体となり、表皮を誘導し水晶体を形成する。続いて水晶体が形成体となり、眼胞・眼杯からを、表皮から角膜を誘導する。

ganpo

反応能

また、胚葉はある程度までは誘導されることができるが、時間が経つにつれて誘導される能力(反応能)が無くなる。ニワトリの背中の表皮を肢に移植すると、5日目の表皮は肢の細胞に誘導されうろこへと分化したが、8日目の表皮は発生運命にしたがって羽毛へと分化した。このことから、日数が経過した細胞は反応能を失うことがわかる。
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コメント

  1. MASAMUNE より:

    コーディン遺伝子・BMP遺伝子とノーダル遺伝子はどういう関係なのでしょうか。
    (ノーダル遺伝子の発現が先なのか、コーディン遺伝子・BMP遺伝子の発現が先なのか、別々の場所で並行して発現しているのか。)
    またβカテニンの働きによってノーダル遺伝子が発現され、中胚葉が誘導されるというのは分かるのですが、
    まだ原腸胚の段階で背側(背中?)と腹側(お腹?)を特徴づけるとはどういうことなのでしょうか。

  2. 管理人 より:

    >MASAMUNEさん
    ご質問ありがとうございました。
    ノーダル遺伝子は中胚葉を誘導する遺伝子であり、
    コーディン遺伝子、BMP遺伝子は背・腹を決定する遺伝子です。
    また、ノーダル遺伝子とコーディン遺伝子は共にβカテニンによって発現するので、同時に発現していると理解して良いのではないでしょうか。
    「特徴付ける」とは誤解を招く言葉でした。
    原腸胚の段階で、背側と腹側が「決定する」という意味合いです。
    どうぞよろしくお願いいたします。

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