植物以外の炭酸同化を行う生物
植物の葉緑体以外においてもある種の細菌は炭酸同化(カルビンベンソン回路での反応)を行う。炭酸同化を行う細菌には、シアノバクテリアや光合成細菌、化学合成細菌がいる。それぞれカルビンベンソン回路は共通しているが、エネルギーを得る方法が異なっている。
シアノバクテリア
シアノバクテリアは植物の葉緑体と同じく、クロロフィルaを光合成色素として持っている。また、光化学系Ⅱ、電子伝達系、光化学系Ⅰも備えており、葉緑体と同じ仕組みで光合成を行う。シアノバクテリアは葉緑体の起源と考えられており、共生を経て植物細胞へと進化したとされている。
光合成細菌
光合成細菌には緑色硫黄細菌や紅色硫黄細菌などがいる。光合成色素としてバクテリオクロロフィルを持っており、光化学系Ⅰ、Ⅱに似た反応系を1つだけ持っている。水の代わりに硫化水素や水素から電子を得て光合成を行う。そのため、放出するのは酸素ではなく硫黄などを遊離させる。
6CO2+12H2S+ 光エネルギー → C6H12O6 + 6H2O + 12S
光合成の式の12H2Oが12H2Sに、6O2が12Sに変換されただけである。
緑色硫黄細菌
下画像は緑色硫黄細菌である。
紅色硫黄細菌
下画像は紅色硫黄細菌である。
化学合成細菌
化学合成細菌は無機物を酸化することによって得られる化学エネルギーを利用し、カルビンベンソン回路で炭酸同化を行う。化学合成細菌には、硫黄細菌、硝化細菌がいる。
硫黄細菌
硫黄細菌は海底の熱噴出孔付近に生息している化学合成細菌である。
熱に強いタンパク質構造をしており、リボソームはPCR法にも利用される。硫黄細菌は熱水中の硫化水素を酸化し、その際に生じる化学エネルギーを利用する。
H2S + O2 → 2S + 2H2O + 化学エネルギー
硝化細菌
他に、化学合成細菌として硝化細菌がいる。硝化細菌はアンモニウムイオン(NH4+)を硝酸イオン(NO3–)に酸化する細菌である。アンモニウムイオンを硝酸イオンに酸化する働きを硝化と呼ぶ。
硝化細菌には亜硝酸菌と硝酸菌の二種類がおり、亜硝酸菌はアンモニウムイオンを亜硝酸イオン(NO2–)へ、硝酸菌は亜硝酸イオンを硝酸イオン(NO3–)へと酸化させる。
亜硝酸菌:2NH4+ + 3O2 → 2NO2– + 4H+ + 2H2O + 化学エネルギー
硝酸菌:2NO2– + O2 → 2NO3– + 化学エネルギー
なぜ、2NO2–にマイナスがつくのですか。ーと+の違いについて教えてください。
あと、上の計算では2NH2-のNが抜けていると思います、その辺を教えてください
コメントいただきありがとうございます。
亜硝酸の化学式はHNO2であり、H+とNO2-に電離します。
Hという元素は元々陽子1つ、電子1つですが、電子をNO2に取られてしまいH+として出て行ってしまうのです。電子を1つ余分に得たNO2はNO2-となります。
「上の計算では2NH2-のNが抜けていると思います」とはどこの部分でしょうか。申し訳ありません、探すことができませんでした。