毛を作る器官「毛包」は同じぐらいある
ヒトは「裸のサル」とも言われるように、毛の「無さ」が特徴的な霊長類です。しかし、実際は毛の数が少ないわけではありません。
毛を作り出す器官「毛包」の数はチンパンジーもヒトも同じぐらいであることがわかっています。ヒトは毛包の数は多いですが、特定の場所を除いて非常に短く細かい毛しか作りません。中には毛を作らない毛包もあります。そのため、一見毛がないように見えています。しかし、毛を作る器官は非常に多いのです。
これらの毛包でしっかりとした毛を作ってしまう病気として多毛症があります。
なぜ毛を作らなくなった?
性選択説
進化論で有名なダーウィンは性選択を用いて説明しています。つまり、ヒトの祖先にとって毛のないメスが魅力的に見え、オスが毛の少ないメスを交配相手として選択し続けた結果、種全体で毛が少なくなったのではないか、とのことです。
ヨーロッパ地域での金髪の増加も、同様の性選択の結果だと考えられているところ見ると、あながち的外れではないようにも思います。実際に、現代でも女性は自分の「体毛」を処理する傾向がありますが、それは男性へのアピール(性的に魅力的に見える)と見ることもできます。
冷却説・狩猟説
毛がなくなることによって汗が蒸発しやすくなり、日中に活動できるようになったとするのが冷却説です。また、日中に狩猟するために、効率よく冷却するために毛がなくなったと考えるのは狩猟説です。どちらも一理あります。
他にも所説あり
ヒトはかつては水中で暮らしていたのでイルカなどと同様に毛を失ったとする水生説や、衣服をきるようになり体毛がなくなったという「衣服説」、寄生虫から身を守るために毛がない方がよかったとする「外部寄生虫予防説」などがあります。
まとめ:なぜ毛がないのかはわからない
毛は化石としては残らないので、いつどの時期に現代人のように毛がなくなったのかはわかりません。そして、その理由もわからない(特定できない)というのが現状です。しかし、進化の過程において毛がないことへの何らかのメリットはあったと考えられています。