サヘラントロプスとは
サヘラントロプス(Sahelanthropus tchadensis)は、約 700 万年前に生息していた Homininae(アフリカの類人猿)の絶滅種です。サヘラントロプスはチャド共和国北部で発見されました。
化石にはトゥーマイとの愛称がつけられ2002年に発表されました。トゥーマイは男性で、推定身長は約1.20~1.30m、推定体重は 35kg前後とされています。その大きさはチンパンジーほどでした。
サヘラントロプスはチンパンジーと人間が分岐する時期付近(700万年前)に生きており、ヒト系統の最も古い祖先であると考えられています。
オロリン・トゥゲネンシスの祖先かもしれない
その後、600万年前頃生息していたであろうオロリン・トゥゲネンシスなどの他の人類も相次いで発見されました。オロリン・トゥゲネンシスは2番目に古い人類として知られています。
サヘラントロプスはオロリン・トゥゲネンシスの祖先である可能性が高いです。
二足歩行していたかもしれない
頭蓋骨には脊椎と繋ぐ穴があいていますが、その穴が下方向に向いているほど、直立して立った(二足歩行していた)可能性が高いと考えられます。サヘラントロプスの頭蓋骨の穴は比較的下方向に向いていましたが、ヒトとチンパンジーの中間ぐらいでした。そのため、二足歩行していたかどうかは確定できませんでした。足跡なども発見されておらず、真相はわかりません。
下画像では頭蓋骨のレプリカを解説しています。
一方、オロリン・トゥゲネンシスの大腿骨は見つかっており、その骨の特徴から推測される筋肉の付き方から二足歩行していた可能性が高いことがわかっています。
サヘラントロプスが生きていた環境
発見された場所はサハラ砂漠ですが、700万年前はかなり湿潤とした環境であったと推測されます。同年代の層からはクロコダイルの化石も発見され、サヘラントロプスが捕食されていた可能性もあります。