目は生物に何をもたらしたか
人類が知っている最古の目は、カンブリア紀の地層から発見されました。カンブリア紀にはカンブリア爆発が起こり、生物の多様性が爆発的に増えたことが知られています。この多様性の爆発は、眼の出現によってもたらされたとも考えられています。
眼が生まれることにより、捕食者は獲物がよく見えるようなり、また被捕食者は逃げることができるようになりました。食べる側も、食べられる側も、競争が加速し、急速な進化をもたらしたと考えられます。
現在では目を持っている生物が多いですが、その目も様々な多様性があります。特殊な目を持つ生き物をご紹介します。
目が4つ!?ヨツメウオ
水上を見ながら水中みれば便利じゃない?という発想の目を持つ魚です。実際には目は2つですが、瞳孔が水平に区切られており、4つの目があるように見えます。
眼球がほぼまぶた!カメレオン
カメレオンはまぶたが目全体を覆っており、瞳孔の穴の部分しか空いていません。この目は砂漠を住む生物にとっては、砂が入りづらいため便利な構造となっています。また、左右の眼球の筋肉への指令が分離されており、互いに独立して動くことができます。
世界一大きな目!ダイオウイカ
ダイオウイカは世界最大の目を持っています。その大きさは直径30cmほどでサッカーボールと同じぐらいです。
目は並外れた双眼鏡のような視覚を持っています。ちなみに極度の遠視です。
目が頭の中に埋まっている!デメニギス
望遠鏡のような突出した両眼を持っています。眼球は頭部内に入り込んでおり、体の表面にある目は退化しています。頭部が透明のため頭の内側から外を見ることができます。また、眼球は筒状になっており、これの方向を変えることによって前方から真上の視野を移動させます。
昆虫界最高の目!トンボ
多くの昆虫が複眼を持っていますが、トンボの複眼は非常に複雑です。トンボの目は非常に大きく、頭のほとんどを覆っており、360度の視野を可能にしています。また、目のサイズは昆虫最大です。高い動体視力を持ち、空飛ぶ獲物でも捕まえることができます。
第3の眼!?ムカシトカゲ
第3の目は頭頂眼と呼ばれ、本来の眼とは異なる器官ですが、光を感知することができます。本来の眼とよく似た構造を持っており、水晶体、角膜、網膜のような組織を持ちます。
頭頂眼は松果体由来の組織で、ヒトでは松果体は概日リズムを作り出す脳の部位です。哺乳類を除く多くの脊椎動物の松果体は光受容能を持っていることが知られています。
夜は人間の350倍の視力!ヘラオヤモリ
垂直のスリット状の瞳孔を持っています。スリット状の瞳孔は、夜行性動物が昼間の強い光をさえぎるために進化したとの説もあります。夜は人間の350倍の視力を持っています。
目が大きすぎて動かせない、メガネザル
夜行性で暗闇でもよく見えるように眼球が巨大化しています。しかしその分、眼球が動かせなくなり、首を動かして視野を変えています。また目が良すぎるため、昼間は光が強すぎて何も見えていないのではないかと考えられています。
血の涙で攻撃!!ツノトカゲ
ツノトカゲは身の危険を感じると目から血を出して攻撃します。血の涙は後ろ向きに飛んでいくそうですよ。
悪魔の目、ヤギ
ヤギの目は悪魔っぽいので、かつては悪魔はヤギの顔をしていると考えられていました。横に細長い瞳孔が特徴です。この横に長い瞳孔は320~340度の視野を持つことを可能にしています(人間は160~210度)。
16種類の視細胞を持つ!!シャコ
ヒトは赤・緑・青の3つの色の波長しか感知することができませんが、シャコは16色もの色を感知できる細胞があることが知られています。しかし、細胞の種類はたくさんあっても、実際に使われていないのではないかとの研究もあります。
シャコ類の眼には、ヒトよりもはるかに多くの種類の光受容細胞が存在するが、色を識別する能力は限られているとする報告が、Science 2014年1月24日号に掲載された。
https://www.natureasia.com/