H2Oだけ結合角が大きい(104.5°)
16族の水素化合物を見てみると、H2Oだけが結合角が大きいことがわかります。これはなぜでしょうか?
- H2O 104.5゜
- H2S 92.2゜
- H2Se 91.0゜
- H2Te 89.5゜
O原子だけがsp3混成軌道を形成する
O原子は次のような電子軌道を持っていますが、共有結合を形成する際にsp3混成軌道を形成します。
2s ↑↓
2p ↑↓ ↑ ↑
↓のようになります。
sp3混成軌道 ↑↓ ↑↓ ↑ ↑
O原子はsp3混成軌道を形成してもしなくても、原子価は2のままです。しかし、2p軌道のままH原子と結合するよりも、sp3混成軌道を形成した方が、よりH原子の電子雲と重なり合うことができます。そのため、sp3混成軌道を形成すると考えられています。
しかし、S原子などは、原子半径が大きいため(内殻に含まれる電子の数が多い)、sp3混成軌道を形成しても十分にH原子と重なることはできません。そのため、S原子はsp3混成軌道を形成するメリットがなく、p軌道のままHと結合を行います。
1s ↑↓
2s ↑↓
2p ↑↓ ↑↓ ↑↓
3s ↑↓
3p ↑↓ ↑ ↑
p軌道には、px軌道、py軌道、pz軌道の3つがあり、それぞれXYZ軸で90゜に交わっています。結果、H2Sの結合角は90゜に近くなります。ちなみに完全に90゜にならないのは、非共有電子対によって影響を受けているためです。