チラコイド膜と膜タンパク質
光合成は葉緑体のチラコイドの膜での反応と、葉緑体のストロマで行われるカルビン・ベンソン回路に分けることができる。チラコイド膜での反応では4つの膜タンパク質が使われており、それらは順に光化学系Ⅱ、電子伝達系、光化学系Ⅰ、ATP合成酵素である。
光化学系Ⅱ
光化学系Ⅱでは太陽光をキャッチするアンテナがあり、これを光合成色素と呼んでいる。光合成色素には小さい順に、カロテン(橙色)、キサントフィル(黄色)、クロロフィルa(青緑)、クロロフィルb(黄緑)などがある。光合成色素には、中央に金属原子が埋め込まれている。
光合成色素は光エネルギーをキャッチし、光化学系Ⅱの反応中心クロロフィルへとエネルギーを伝達する。光化学系Ⅱでは水がH+とO2に分解され、O2は外界へ放出される。これが光合成で酸素が発生する由縁である。水の分解によって生じたe–は光化学系Ⅱの反応中心クロロフィルに受け取られ、先ほど集められたエネルギーに受けて放出されて電子伝達系に渡される。この反応を光化学反応と呼ぶ。
電子伝達系
電子伝達系(下画像左から二番目)では電子が通るエネルギーを利用してH+をチラコイド内に取り入れている。光化学系Ⅱでも水の分解でH+ができるので、チラコイド内のH+の濃度はストロマのH+の濃度に対して上昇していく。
光化学系Ⅰ
次に電子は光化学系Ⅰに渡される。光化学系Ⅱと同様に反応中心クロロフィルにエネルギーが集められて、電子が放出される。
電子はNADP+に渡され、NADP+とストロマ中にあるH+が結合し、NADPHとなる。NADPHは電子を運ぶための物質である。このような物質を補酵素と呼ぶ。NADPHは後にカルビン・ベンソン回路に電子と水素を運び、NADP+に戻る。NADP+について詳しくはこちらを参照。
ATP合成酵素
ATP合成酵素にはH+が通る穴が開いている。H+がこの穴を通ってストロマへ拡散するエネルギーを用いてADPにリン酸を結合させ、ATPを合成する。この反応を光リン酸化という。
ADP + リン酸 → ATP
まとめ
まとめると、チラコイド膜上では次のような反応が起きている。
ATP合成:18ADP + 18リン酸 → 18ATP
ATP合成と水分解の係数はなぜ割らないのですか?
途中の式が関係するのでしょうか?
>名無しの権兵衛さん
ご質問ありがとうございます。
チラコイド膜での生成物は、最終的にはカルビンベンソン回路の反応とつながるので、カルビンベンソン回路に数を合わせているのだと思います。
カルビンベンソン回路では1つのグルコースを作るために次の反応が起こります。
6CO2 + 12NADPH + 12H+ + 18ATP
→ C6H12O6 + 6H2O + 12NADP+ + 18ADP + 18リン酸
12ANDPH、12H+、18ATPはこの数字に合わせているのでしょう・w・