重力屈性とは?
重力屈性は植物の茎や根が重力による刺激によって、決まった方向に屈曲する現象である。茎は重力に逆らって屈性し、根は重力方向に屈性する。
重力屈性とアミロプラストの役割
重力屈性はアミロプラスト(下画像)の位置とオーキシンの働きによって生じる。アミロプラストとは、色素体(プラスチド)内にデンプン粒が入っている細胞小器官の名称である。
茎での重力屈性(負)
茎は重力と反対の方向に屈曲する。これを負の重力屈性と呼ぶ。この屈性は内皮細胞内にあるアミロプラストの位置によって引き起こされる。
内皮細胞とは?
下画像のEndodermisが内皮細胞である。内皮細胞は維管束を取り囲んでいる。
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茎の重力屈性の仕組み
仕組みは以下の通りである。
- 内皮細胞内のアミロプラストが重力によって地表側(重力側)に移動。
- オーキシンが地表側に輸送される。
- 地表側の細胞が成長し、結果、茎が屈曲する。
根での重力屈性(正)
根は重力の方向に屈曲する。これを正の重力屈性と呼ぶ。根ではオーキシンは成長を抑制する働きをする。
根の重力屈性の仕組み
仕組みは以下の通りである。
- 根冠の平衡細胞内のアミロプラストが重力に従って移動する。
- PINタンパク質によってオーキシンが根の重力側に輸送される。
- 重力側の細胞の成長がオーキシンによって抑制される。その結果、根が屈曲する。
根が重力に対して垂直の時は、偏りなくオーキシンが輸送される(下画像左)。根が重力に対して垂直でない時は、重力側にオーキシンが輸送される(下画像右)
下画像は平衡細胞と細胞内のアミロプラスト(画像右)である。アミロプラストが平衡細胞の下側に沈殿しているため、根はまっすぐ下に伸びていく。