オウム病クラミジアとは?
オウム病クラミジ(Chlamydia psittaci)は細菌ドメインのクラミジア網クラミジア門に分類される細菌です。鳥類を始めとし、家畜化されたウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、、そしてヒトにも感染します。
オウム病クラミジアは完全な細胞内寄生生物で細胞の外では生きていくことができません。オウム病クラミジアは細胞内に侵入し、ATP/ADPトランスロカーゼという酵素によって、ATP(生物にとってのエネルギー物質)を取り入れて生活しています。
生命活動の多くを寄生先の細胞に依存しているため、ゲノムも大幅に縮小されており、ゲノムには1,000 ~ 1,400 ほどのタンパク質しかコードされていません。
細胞内に入り込んだオウム病クラミジアは膜に包まれながら生活し、膜内で細胞分裂を繰り返し個体数を増やしていきます。十分に増えたところで細胞から出て、他の細胞に感染します。
細胞内のオウム病クラミジアが大きな小胞の中にまとまっているのが観察できます。
オウム病とは?
オウム病クラミジアが鳥類に感染すると、体温低下、食欲不振、結膜炎、呼吸硬軟、肝機能障害などの症状が見られます。しかし、細菌が活性化されるまでは、細胞内で静止したままの状態となり症状は現れません。活性化すると気道の粘膜の上皮細胞、マクロファージに感染し、最終的に敗血症を引き起こします。
ヒトに感染した病名をオウム病と呼びます。鳥類からヒトへは、乾いた糞便を吸い込んで取り込まれるか、口移しでエサを与えることで体内に侵入します。
ヒトに感染すると、一般的に風邪に似た症状をもたらしますが、重篤な場合は肺炎や脳炎にまで至ります。頭痛は、髄膜炎をになるほど深刻な場合があり、発症してから 1 週間ほどたつと、昏迷や昏睡状態に陥り、重症化する可能性があります。
ちなみにオウム病クラミジアは米国が生物兵器計画を停止する前に、生物兵器の可能性としてピックアップしていた細菌の1つでした。