遺伝子治療とは?
遺伝子に異常があり機能不全になっている細胞に遺伝子を導入するなどして、欠陥を修理する治療方法を遺伝子治療と呼ぶ。ウィルスなどを利用してベクターを患部に直接注入して異常細胞に遺伝子を取り込ませるか、血球などを取り出して遺伝子を組み込んで再び患者に戻すなどする方法がある。
1990年代に初めて日本で臨床され、治療を受けた患者が白血病を発症するなど、重大な副作用が相次いだ。そのため、安全性が課題となっていた。しかし、近年ではAADC欠損症(遺伝病)というドーパミンを正常に合成できない病気の患者に遺伝子治療がなされ、寝たきり状態だった人が歩くまで回復したとの事例も報告されている(NHK)。
ヒト生殖細胞の遺伝子治療は禁止されている
ヒト生殖細胞を遺伝子組み換えするのが遺伝子治療だとよく勘違いされることがある。しかし、生殖細胞に対する遺伝子治療は禁止されている(厚労省 臨床遺伝子治療指針)。その理由として、何十年、何世代かに亘って副作用が出る可能性があること、研究者がそれを追跡することが不可能であることなどが挙げられる。
参考:http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu90/siryo5-4.pdf
遺伝子治療の将来
将来的には癌を治療するために遺伝子治療が活躍する可能性がある。まだ実験段階である。