ちょっとディープな生物の世界

倍数性・倍数体

ゲノムとは?

ヒトは46本の染色体を持っており、1セットは23本であある。この染色体23本分の塩基配列をゲノムと呼ぶ。染色体23本にはヒトの基本的情報が全て詰まっており、設計図である。つまり、ヒトは設計図を2枚持っていると言える。

相同染色体とは?

ヒトは23種類の染色体を、父から1セット、母から1セット受け継ぐ。そうして、23種類×2セット=46本となる。つまり、ヒトは同じ種類の染色体を2本ずつ持っているのであり、このペアのことを相同染色体と呼ぶ。

ミツバチの単為生殖

有性生殖をする生物が受精なしに単独で子を作ることを単為生殖と呼ぶ。相同染色体が無くても、基本的な設計図(ゲノム)は持っているため、生物種によっては受精無しに発生が可能である。
ミツバチ(女王蜂)は染色体数が36本であり、減数分裂によって生じた配偶子(卵)は18本となる。受精しなくとも発生が進み、染色体数18本の雄バチとなる。受精したものは雌バチとなる。ちなみに、雄が精子を作る際は減数分裂をせずに18本の染色体を持つ精子を生産する。

http://y-arisa.sakura.ne.jp/

倍数性・倍数体

ゲノムのワンセットをいくつ持っているのかという性質を倍数性と呼ぶ。例えば、ヒトは23本の染色体セットを2つ持っているので、2倍性である。また、そのような生物を2倍体と呼ぶ。自然界には3倍性・3倍体の生物や、4倍性・4倍体の生物もいる。

46本

http://square.umin.ac.jp/

3倍体の生物例:アマゴ

アマゴの卵は最初、二組のゲノム(2n)を持っているが、精子(n)と接合するとそのうちの1組(n)が捨てられて、通常の個体(2n)が生まれる。しかし、受精卵をぬるま湯につけておくと、余分な一組(n)が捨てられずに、3nのアマゴが誕生する。

http://www.miyagi.kopas.co.jp/

このような3倍体の生物は、相同染色体数が奇数なので配偶子を作る際に上手く減数分裂することができず、生殖能力を持たない。このような生殖能力を持たない性質を不稔性と呼ぶ。また、染色体のセットが大きいほど、生物が巨大化する傾向がある。

http://www.miyagi.kopas.co.jp/

増殖可能な3倍体:植物

植物は動物よりも3倍体などの種が多い。これは、植物は球根などの栄養生殖(クローン)によって増殖することが可能であるためである。また、セイヨウタンポポなどは3倍体であるため減数分裂を上手く行うことができないが、種子形成する際には3倍体のクローンを作成する。そのため、セイヨウタンポポは種子で増殖することができる。しかし、受粉はできない。ちなみに、日本の在来種は2倍体や、4倍体などの種なので、普通に有性生殖を行うことができる。

http://www.sci.u-toyama.ac.jp/

異数体とは

染色体の数が、その種の固有の数よりも多いor少ない場合、その個体を異数体と呼ぶ。ヒトの異数体の例は以下の記事で紹介する。

ヒトの異数体の例まとめ一覧

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