なぜ顕微鏡が大切なのか
生物学は生き物とは何かを調べ理解する学問であり、そのためには正確かつ客観的な観察が不可欠である。顕微鏡が出現以前はおぼろげな生物観であったが、レーウェンフックの顕微鏡発明以来、人間の目には見えない微小世界があることが明らかになり、人類の生物観を大きく変えた。顕微鏡は生物学の発展そのものであり、その重要性からも試験でも良く出題される問題でもある。
[amazonjs asin=”B00KKBFMB6″ locale=”JP” title=”Kenko 顕微鏡 Do・Nature STV-600M 1200倍顕微鏡 STV-600M”]
光学顕微鏡の構造
光学顕微鏡には以下の部位がある。
1:接眼レンズ、2:レボルバ、3:対物レンズ、4:粗動ハンドル、5:微動ハンドル、6:ステージ、7:鏡、8:コンデンサ、9:プレパラート微動装置
接眼レンズ
光学顕微鏡は接眼レンズと対物レンズの2つのレンズを用いて倍率を上げている。目で覗く方のレンズを接眼レンズと呼ぶ。
鏡筒
接眼レンズと対物レンズを繋ぐ筒である(上画像では数字はつけられていない)。
レボルバー
普通、対物レンズは1つの顕微鏡に複数個セットできるようになっている。レボルバーを回転させることで、使用する対物レンズを変えることができる。
対物レンズ
試料に近い方のレンズを対物レンズと呼ぶ。
ステージ
試料を置く台である。
ホルダー
プレパラートを固定する部品である(上画像では数字はつけられていない)。
しぼり
しぼりは入ってくる光の量を調節する。しぼりを絞ると視野は暗くなるが輪郭は明瞭になる。しぼりを開くと明るくなるが、輪郭がボンヤリする。
光源or反射鏡
光源である。古い顕微鏡は鏡がついており、光を試料へと反射させる。
鏡台
顕微鏡の一番下の台であり、位置を安定させる。
調節ネジ
ステージの高さを調節するネジである。
アーム
持ち運ぶ時に持つ部位である。
顕微鏡の使い方
以下の手順で行う。
- アームと鏡台を持ち、平行で安定した場所に顕微鏡を置く。
- 視野が均一な明るさになるように光源または反射鏡で光量を調節する。
- プレパラートをセットする。
- 横から見ながらプレパラートと対物レンズを近づける。その後、接眼レンズを覗きながらプレパラートを対物レンズから遠ざけつつピントを合わせる。これは、対物レンズにプレパラートを接近させてピントを合わせると、誤ってレンズとプレパラートが衝突する恐れがあるためである。
- ピントが合ったら観察しやすい像をプレパラートを移動しながら探す。その際、顕微鏡内の視野は左右上下が逆になっているため、移動方向と視野内の移動方向が逆になることを注意しなければならない。
低倍率から高倍率へ
ふつう、顕微鏡観察は低倍率から観察を始め、高倍率へとしていく。高倍率にすると、もちろん視野は狭くなる他、視野の明るさが低下する。そのため、高倍率で観察する際には十分な光源が必要である。
なぜ視野が暗くなるかについては、次の画像が理解しやすい。低倍率では光の粒子がたくさんあるが、高倍率にするとそのぶん光の粒子の数も減るため、視野が暗くなるのである。
視野を明るくする
視野を明るくするためには、①反射鏡を凹面鏡にし、②絞りを開くなどの操作を行う。凹面鏡は凹んでいる鏡のことで、光を中央に集中させることができる。