A:チンパンジーは乱婚制だから
ゴリラやオラウータンのオスはメスに比べて二倍以上の大きさの体を持っています。しかし、チンパンジーのオスとメスはほぼ体格差がありません。これには一夫多妻か、乱婚かのシステムが関与していると考えられています。
ハーレムを形成するゴリラやオラウータンは、他のオスとの競争に勝つための自然選択が働き、体が大きくなったと考えられています。
しかし、チンパンジーやニホンザルのような乱婚制のサルでは体は小さなままです。乱婚のサルでは、交尾の時間が7秒ほどであり、発情期のメスにオスが入れ替わって交尾をします。もちろん順番としてはボス猿が最初ですが、順位が低いサルも待っていれば交尾をすることができます。そのため、強いボス(体の大きい個体)の遺伝子だけが残るのではなく、体の小さなサルの遺伝子が残ることもあります。その結果、「体の大きさ」という形質が強調されることなく、子孫へと受け継がれることになります。
一方ゴリラなどは競争に勝った体の大きな個体のみが交尾できるため、体の大きさが子孫に受け継がれていきます。ちなみに交尾の時間も数分~十分と、チンパンジーに比べると非常に長いです。
ゴリラなどのハーレムを形成するサルと異なり、乱婚制のサルはオス同士のメスを巡っての対立関係が緩和され、30~80匹の集団を作り出します。そして、徒党を組んでお互いに協力し合うような社会を形成しています。そのような社会性は一夫多妻のサルには見られない現象です。