パラントロプスとは?
パラントロプス(Paranthropus)は絶滅したヒト属の1つです。彼らは約2.6〜0.6万年前に生息していたと考えられています。
頭蓋骨に突起(矢状稜)を持つ
矢状稜(しじょうりょう)とは頭蓋骨の頂点にある突起です。ゴリラなどで発達している部位で、この骨に顎を動かす筋肉(側頭筋)がつきます。
矢状稜が発達しているほど、側頭筋の量も多く、噛み砕く力が強いです。また、パラントロプスの歯は犬歯ではなく、幅広い歯が並んでおり、草食であったことが推測されます。
なぜ側頭筋が発達している?
パらんトロプスは植物性の非常に硬いものを食べていたと推測されます。調理なしに植物の根を食べるには、尋常でないほどの顎の力が必要です。そのような他の動物が食べない部分を利用できるよう、独自に進化したと考えられています。
頭は大きいが体は小さい
大きくて丈夫な頭部に比べて、体はかなり小さかったと考えられています。男性はおよそ40kg、女性は32kg程度でした。また、身長は、大腿骨の長さと現代の人間の寸法に基づいて、男性は平均132 cmと女性は平均110 cmであったと推測されています。
男性の方が女性よりも顕著に大きかったことから、一夫多妻制であったのではないかとの説もありますが、はっきりとはわかっていません。
大型肉食動物に食べられていた
パラントロプスは頑強な顎の持ち主でしたが、これといった武器はなく、ひ弱な存在でした。また、草食のため一日の大半を食べることに費やさねばならず、知能を発達させることもありませんでした。そのため、大型肉食動物にとっては格好の餌であり、ワニ、ヒョウ、ハイエナによって捕食されていたと考えられています。