ちょっとディープな生物の世界

人格(パーソナリティ)障害の症状・治療方法

人格障害とは

K.シュナイダーの定義では、人格障害とは「その異常性のために自分自身が悩むか、社会が悩む」とされている。また、人格は生得的なものであり、生涯にわたって変化しないものである。

人格障害の悲劇は、自分が悩んでいなかったとしても、社会によって判断が下されることがあるという点である。例えば、時代的に全体主義傾向が非常に強い時期において、個人主義を主張する人物が極めて少数の場合、それは人格障害であるとみなされてしまう。実際に、政治犯などは、「人格障害」とのラベルが貼られるなど、この診断が乱用されたこともあった。そのため、この診断名がタブー化された時期もあった。

しかし、DSM-Ⅲにおいて、ある診断基準に従った人格障害という概念が復活した。

DSMによる人格障害診断

人格障害とは、ある人の考え方や行動の特徴である。その特徴が社会的な一般常識からかけ離れており、幼児期~老齢期まで変化が生じないものを人格障害と呼ぶ。

特に、認知、感情表現、対人関係、衝動性などの特徴がピックアップされる。躁うつ病のように、ある時期にのみ特徴的な社会常識からの逸脱がみられるものは人格障害ではない。

以上の点を踏まえ、DSMでは大きく3つの人格障害に分類している。

A群人格障害

妄想性人格障害、分裂病型人格障害などを含む。奇妙、風変わりな信念や習慣を持つ。

B群人格障害

反社会性人格障害、境界性人格障害、演技性人格障害、自己愛性人格障害などを含む。情緒や感情の現れ方が適切ではない。

C群人格障害

回避性人格障害、依存性人格障害、強迫性人格障害などを含む。対人関係に特徴的な症状がである。自身がなく、不安が大きい。

人格障害の原因

家族負因による場合が多いが、衝動性の制御などにはセロトニン動作性神経の異常が関与していると考えられている。

治療方法

基本的に変化しないものなので、修正するためには、長期間にわたって適切な社会経験を繰り返す必要がある。1970年頃には、精神分析による治療が活発に行われたが、治療効果は出ていない。現在では、遺伝的な要因や、薬物療法が研究されている。

治療では、支持的精神療法、認知行動療法、精神分析的精神療法などの精神療法(orカウンセリング)が行われます。境界性パーソナリティ障害に対する治療プログラムが科学的に有効であることがわかり、効果の高い治療法も開発され、実際の治療に活かされています。
薬物療法では、感情調整薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や少量の抗精神病薬がパーソナリティ障害の症状を軽くするのに有効であることがわかっています。また、合併しているほかの精神疾患の治療も重要です。

https://www.mhlw.go.jp/

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