活動電位が起こる仕組み
活動電位はNa+チャネルが開くことによって起こる。Na+チャネルが開くと、細胞内外の濃度勾配と電気勾配(細胞内は負)によってNa+が細胞内に流入する。Na+が流入し膜電位の負電荷が減少すると、さらなるNa+チャネルが開き、さらに大きなNa+の流入が引き起こされる。K+漏洩チャネルからはK+が細胞外へ流出しているが、Na+の流入に比べれば僅かなものである。
その結果、膜電位が逆転し、内側が正の電位となる。これを活動電位と呼ぶ。また、この現象を脱分極と呼ぶ。下画像では②の期間である。
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ピークと再分極
細胞内の膜電位が30mVほどにまで達すると、Na+チャネルが閉じ、膜電位の上昇が止まる。その直後に電位依存性K+チャネルが開き、細胞外へK+が流出する。K+が流出すると、正の電荷を持つ粒子が細胞外へ流出するため、細胞内の膜電位が下がる。これを再分極と呼ぶ。
過分極
細胞外へK+が流出し続け、一時的に細胞内の膜電位が-70mVを下回る。これを過分極(下画像の④の期間)と言い、過分極の期間は活動電位が起こりづらくなっている。また、Na+チャネルも一旦閉じると少しの間は不活性化され、不応期がある。この不応期は、活動電位を一方向にのみ伝えるために重要である。
電位依存性イオンチャネルとは
電位依存性イオンチャネルとは、電位の変化によって閉じたり開いたりを制御されているチャネルである。電位依存性K+チャネル、電位依存性Na+チャネル、電位依存性Ca2+チャネルがある。
その仕組みは簡単で、チャネルの一部が+の電荷を帯びており、正や負に引き寄せられることによってチャネルの構造が変化する、というようなものである。もちろん、ここに人工的に電気を流してもこのセンサーを動かすことができる。
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局所電流と伝導
活動電位が生じると、細胞内が+に、細胞外が-へと変化する。すると、活動電位が生じた部位と、生じていない部位とでは電気的なアンバランスが生じ、電荷を持った粒子の移動が起こる。
ここでは、主に細胞内に流入した大量のNa+について考えてみよう。Na+は濃度勾配的・電気的に引き寄せられて、周囲へと拡散していく。すると、周囲の細胞内の膜電位が上昇し始める。電荷を持った粒子の移動のことを電流と呼ぶので、ここで生じる電流には局所電流という名前がつけられている。その後、Na+はナトリウム・カリウムポンプによって細胞外へ排出される。
局所電流が生じると、電位依存性Na+チャネルが開き、活動電位が生じ始める。このような原理で次々と隣のチャネル、隣のチャネル、というように活動電位が伝わっていく現象を伝導と呼ぶ。
脱分極から過分極までの流れで、流入したNa+が細胞内に流れ込んだままのように思うのですが、膜電位が-70mVに戻った後、ナトリウムポンプによって少しづつ細胞外に流出しながらNa+の濃度勾配が戻るイメージでしょうか。
また「この不応期は、活動電位を一方向にのみ伝えるために重要である。」とは、過分極中にNa+の流入を防ぐために重要ということでしょうか。