タイコバエはヒアリに卵を産み付け寄生する
タイコバエ(Pseudacteon obtusus)はアリ断頭バエともよばれ、アリに卵を産み付けて幼虫時代は寄生して過ごします。タイコバエのメスは産卵管をヒアリの脚の間に差し込み、卵を注入します。すると、卵が孵って蛆となり、蛆は脳に向かって移動します。
蛆がヒアリをマインドコントロールする
蛆は脳を傷つけないようにしながら、栄養分の体液を吸うという絶妙な技をやってのけます。その間、アリは普通に生活することができます。
しかし、蛆が蛹となる時期となると、蛆がある化学物質を放出し、アリが巣から離れて適した湿度の場所に移動するよう誘導します。中には巣を50メートルも離れる「ゾンビアリ」もいるそうです。
脳を食べて蛹化の準備
蛹化に適した場所に到着すると、蛆はアリの頭を繋ぎとめている膜を分解する物質を分泌し、アリの頭を体から切り落とします。
蛆は最後に残されたご馳走である「脳」を食べ、空っぽとなったアリの頭の中で蛹となり、数週間たった後に羽化します。
下の画像はちょうど頭から出てきた瞬間です。こんにちは!
アリの頭から這い出るタイコバエ。けっこうホラーです。
米国ではヒアリ対策に
タイコバエは特殊化が進んでおり、ヒアリのみしか寄生しないことが知られています。そのため、米国では新たに侵入してきた外来種であるヒアリの駆除を目的として導入することも考えられています。