濃淡電池とは?
濃度の異なる硝酸銀水溶液を2つ準備して塩橋で繋ぎ、銀を電極として電極を導線で繋ぐと、電池になります。このように電極は同じで、電解質の濃淡だけで動く電池を濃淡電池と呼びます。
下画像は硫酸銅水溶液を用いた濃淡電池です。
硝酸銀水溶液を用いた濃淡電池の仕組み
濃度が高い溶液ではAg+が電極に多く衝突するため、電子を受け取ってAgになる割合が高くなります。
Ag+ + e– → Ag
この結果、濃度が高い溶液の電極では電子不足に陥っています。そのため、濃度が薄い溶液の電極から電子が移動してきます。濃度が薄い溶液では、電極の溶解が起こります。
Ag → Ag+ + e–
この濃淡電池の起電力は0.06Vであり、実用的ではありません。
乾電池とは?
電解質を糊で固めて持ち運びを便利にした電池を乾電池と呼びます。中でも有名なマンガン電池は、ルクランシェ電池が元になっています。
ルクランシェ電池は、素焼きの円筒内にMnO2とCの粉末と炭素棒を立て、この円筒を亜鉛板と共にNH4Cl–水溶液に浸した電池です。
マンガン乾電池には、亜鉛が負極活物質に、酸化マンガン(Ⅳ)が正極活物質、炭素棒が正極端子、電荷液には塩化アンモニウムと塩化亜鉛の水溶液が使われています。
なぜマンガン電池のMnO2には炭素粉末を入れるの?
MnO2だけでは伝導性が大きくないため、通電性をよくするために炭素の粉末を加えます。
マンガン乾電池の負極・正極の反応
負極では亜鉛が溶けだしています。
Zn → Zn2+ + 2e–
ここで出た電子は炭素棒を通って正極へ流れます。正極ではMnO2に電子が与えられ、NH4+と次の反応をします。
MnO2 + e– + NH4+ → MnO(OH) + NH3
負極で生成されたZn2+は、正極合剤(MnO2とNH4Clを混ぜ合わせたもの)までたどり着き、[Zn(NH3)4]2+などのアンモニア錯イオンを形成します。このため、負極ではZn2+の濃度は低く保たれており、分極が防がれています。